「第1志望校と併願校」と「我が子に合った学校」[中学受験]

すべての受験生が第1志望校に合格するわけではない。難関校・上位校では、3人に2人は不合格になる。受験倍率が高い場合は、4人に3人が不合格となり、第1志望校よりも併願校に進学する受験生のほうが多くなるのだ。
ここで考えておかなくてはいけないのは、併願校に進学した場合、併願校が「我が子に合った学校」であったかどうかである。併願校をあまり調査せず、教育方針・校風を明確に捉えられていなければ、進学後に「我が子に合った学校」であったと感じられる確率が、第1志望校に進学した場合よりも極端に低くなるのではないだろうか?

中学校入試の目標は第1志望校に合格することであるが、大事なのは中学校進学後の学校生活である。そのために「我が子に合った学校」を探し、第1志望校にするわけだ。第1志望校に進学しても「我が子に合った学校」でなければ合格を勝ち取った意味がない。逆に併願校に進学しても、併願校が「我が子に合った学校」であれば苦労して受験勉強をした意義があると言えるだろう。

第1志望校に進学した場合と併願校に進学した場合では、「我が子に合った学校」と考える保護者の割合はどれくらい違いがあるのだろうか?
第1志望校に進学した場合は、「我が子に合った学校」と考える保護者は約90%、併願校に進学した場合は約70%であった。第1志望校に進学した場合は、第1志望校=「我が子に合った学校」と言ってもよいくらいの数値である。
併願校に進学した場合でも「我が子に合った学校」と考える保護者が70%もいると見るべきか、それとも併願校に進学した場合は「我が子に合った学校」と考える保護者が第1志望校に進学した場合よりも20%も少ないと見るべきか、判断が難しい。

分析前は、第1志望校に合格できなかったことで、在籍校に満足できない受験生・保護者が多いのではないかと予想していたので、併願校に進学しても「我が子に合った学校」と考える保護者が70%もいるのは意外と多かったと思える。
しかし、第1志望校に進学した場合よりも併願校に進学した場合のほうが、「我が子に合った学校」の確率が20%も低くなるのはなぜだろうか?
第1志望校に進学した場合と併願校に進学した場合で、在籍校の教育方針・校風が入学前の予想と現実でどれだけ違っているかを調査したが、併願校に進学した場合のほうの違いが大きく、併願校の教育方針・校風をあまり調査していないのが原因ではないかと考えた。
あまり調査をしていなければ「我が子に合った学校」かどうかわからないので、併願校に進学した場合のほうが、「我が子に合った学校」の確率が20%低くなることも納得できる。やはり、併願校に進学する場合もあるので、併願校の教育方針・校風を徹底的に調査して「我が子に合った学校」に進学する確率を高めるべきである。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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