やる気が出ない子どもへの対応策は? [中学受験]

入試が迫っている時期に、子どもにやる気がない時の対応について、保護者から次のような質問がありました。

(質問)
小6の女の子を持つ母親です。受験する予定でいるのですが、6年生の1月になってもやる気が出ないのです。志望校には全然届きそうにないので(に?)、希望校(志望校)を変えることも納得してくれません。本人の行きたい所に行かせたいのですが、どうしたらよいかわかりません。大手塾に通っておりますが、ちゃんとしたアドバイスがなかったので、今から家庭教師でも頼みたいと思いますが、子どもが自分の力でやりたいというのです。どうしたらよいか、ご経験のあるかた、アドバイスを頂けませんでしょうか。

(回答)
受験生の親としては気のもめる時期となりますが、この時期に子どものやる気がなくなるのは、子どもが、志望校に合格することを、ほぼ諦めているからであるように思えます。周囲の友人や家族に対し、現状を認めることができないので苦しんでいるのではないでしょうか。
志望校を自分の成績に見合ったレベルの学校に変更することは、きっと、プライドが許さないのだと思います。「家庭教師を頼んで……」「自分でやりたい」というのは、やり方の問題で、志望校に合格したいのなら方法は問わないはずです。自分でやりたいのであればもっとやる気が見えても良いのですが、そうでないということは、家庭教師を付けてもらっても志望校に合格することは無理だと、諦めているのかもしれません。

ここで最も重要なことは、不合格になることがわかっているのに、対策を講じず、最後までがんばることもしないことです。当然、第1志望校は不合格となる可能性は高いでしょう。あともう少しで合格できたとか、合格には程遠かったが最後までがんばって結果は不合格になったという場合とは根本的に違う不合格と言えます。これらのケースは、次回の高校受験または大学受験で、中学受験の失敗が活かせるのです。しかし、諦めて最後までがんばらなかった受験では、失敗を活かすことができず、同じ失敗を繰り返すことになり、負け癖を付けるだけです。たとえ中学受験で志望校に合格できなくとも、上記のように失敗した体験を活かせるように受験させるべきでしょう。

対策として、すぐにでも始めてもらいたいのは、子どもと正面から向き合い、お互いを理解するために話し合うことです。不合格となることが問題なのではなく、負け癖を付けることが問題であること、最後までがんばれば、志望校に不合格になっても、どうして不合格になったか原因が納得できるので、次の受験でその体験を活かして再挑戦できること……をお互いが理解したうえで、最後までがんばるためには今何をすべきかを話し合うべきです。このように話せば、子どもも理解してくれると思います。少なくとも、これまで親子で努力してきたことが無駄にならないよう、子どもの将来に悪い影響を及ぼさないようにすべきです。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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