学校の健康診断はなぜあるの?【後編】~再検査のお知らせが届いたら~

学校から健康診断の再検査のお知らせが届いたら心配になってしまいますよね。結果の受け止め方、そして病院受診の際のアドバイスを、元養護教諭で帝京短期大学教授の宍戸洲美先生にお伺いしました。



学校の健康診断はなぜあるの?【後編】~再検査のお知らせが届いたら~


結果に疑問があれば相談を!

学校の健康診断は、病院の診察と違って「○○が悪いです」という確定診断をされるものではありません。治療や詳しい検査が必要な場合は、学校からお知らせの用紙が配られると思いますので、できるだけ早く病院を受診し、子どもが安心して学習や運動に取り組めるようにしましょう。どの病院を受診すれば良いのか迷われたりすることがあれば、担任の先生や養護教諭に相談してください。保護者のなかには、健康診断の結果に疑問を持たれるかたもいるかもしれません。たとえば、「学校の歯科健診の直前にかかりつけの歯医者で診察してもらったときは、虫歯はないと言われた」といった場合です。
多くの子どもの診察を短時間で行っているため、誤診の可能性もあるかもしれませんので、その旨を学校に伝えて相談してみましょう。かかりつけ医で治療中の項目であれば、再検査しなくても良い場合もあります。



検査結果をもらって注意すべきこと

今回は学校の健康診断で再検査になるかたが多い尿検査と視力検査の結果についての注意点をお話ししたいと思います。

●尿検査で再検査になったら
学校で行われている尿検査では、尿の中に血液・たんぱく・糖が出ていないかを調べます。この検査で「慢性腎炎」や「I型糖尿病」などの病気が早期に発見できるようになります。ただ、尿検査の結果が陽性で二次検査の対象になったからといって病気だとは限りませんので、心配しすぎなくても大丈夫です。腎臓病でなくても尿に血液やたんぱくが混じることがありますので、まずは再検査を行い、それでも陽性であるようなら専門医による検査をしてもらいましょう。

●眼科検査で再検査になったら
学校の視力検査で、A以外の結果だった場合、授業に支障をきたす可能性があるほか、弱視・乱視・遠視・その他の眼の病気が関わっていることもあるので、眼科を受診することをすすめる学校が多いと思います。「今年も去年と同じB判定だし、黒板もよく見えているみたいなのに、また眼科に行かなくてはいけませんか?」というお問い合わせを受けたこともありますが、年に1回は専門医を受診して子どもの正確な視力や眼の状態を把握しておくと良いですね。
メガネを作る場合は、専門医に書いてもらった処方箋を基にメガネを作ることをおすすめします。近年、病院の処方箋(せん)がなくても簡単な検査でメガネを作ることができるお店もありますが、子どもの眼は成長しているため見えればOKではなく、子どもの眼の発達に合ったメガネを作ることが大切だからです。

その他の検査で再検査のお知らせをもらった場合も、「毎年もらっているけど特に異変はないから大丈夫だろう」「受診しなくても治るだろう」と思わず、再検査はしっかり受けるようにしましょう。



健康相談を活用しよう!

再検査が終わったら、その結果を学校に伝えましょう。学校はその結果を把握して、教育活動に配慮する必要があれば適切な措置をとるようにしています。
再検査する項目がなくても、子どもの心や体に関する心配ごとがある場合は、健康診断が終わったころに開かれる、校医による健康相談で相談されてみてはいかがでしょうか。たとえば、アトピー性湿疹の子どもから「体育の授業で汗をかくと、そのあと皮膚のかゆみが増してしまう」という相談を受けたことがありました。校医さんから「体育授業後に温水シャワーを受けるようにすると良い」とアドバイスを受け、担任の先生に特別に配慮してもらい、休み時間にシャワーを受けられるようにしました。すると症状が改善したというケースがありました。また、学校によっては、肥満の子は栄養士による食事のアドバイスを受けられたりすることもあるようです。

「病院の先生や担任の先生は忙しそうでなかなか相談できない」「こんなこと聞いて良いのかな」などと迷われることでも、心配ごとがある場合はぜひ活用しましょう。


プロフィール


宍戸洲美

帝京短期大学 生活科学科 学科長・教授。看護師、保健師を経て、3つの小学校で27年間にわたって養護教諭として勤務した経験をもつ。現在は大学で養護教諭をめざす学生たちの指導にあたると共に、NPO法人子育てアドバイザー協会の講師なども務めている。

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