学校を見る視点 その2 受験校をどう決めるか[高校受験]
■多くの学校は「インプット」に注力
今、多くの学校は、生徒にたくさんのことを教えることに熱心です。生徒にたくさんの情報を「インプット」することに、大半の労力・時間を使っています。前回説明したように学習システムをきっちりとつくり、生徒は用意されたものをそのとおりやればいいだけになっているのです。
しかし、最近では「それではマズイ」と考える学校が出てきています。受け身の姿勢で、「教えてもらうことが勉強」と思っている生徒では、卒業してからつまずくことに気付いたのです。
「何を勉強したらいいのか」「どう課題・テーマを設定し、どのように研究を進めたらいいのか」「個人としては有能でもグループワークができない」「リポート・論文をどのようにまとめればいいのか」……合格はさせたものの、大学での勉強に対応できない自校の卒業生の姿を見て、「インプットしているだけではいけない」と考えだしたのです。
■「総合的に」育てているか
そこで、そのような学校は、教科の知識をインプットするだけではなく、「プロセス」「アウトプット」にも力を入れ出しています。
・ノートの取り方、リポートの書き方を教え、実際にリポート・作文などをたくさん書かせるようにしている
・授業を先生と生徒のやり取りが多い双方向型にするだけでなく、自分の意見・考えを発表する場をたくさん用意している
・探究学習でも、文献・インターネットで調べる以上に、生の大人に会って取材することを奨励している
……これらは、学ぶプロセスであると同時にアウトプットでもありますし、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力を育てることにもつながっています。
勉強面だけではありません。生徒を一人前の大人にするために、学校行事などを自分たちの手で運営させている、他校の生徒・学校外の大人・外国人と接触する機会をできるだけ設けてどのような人とも人間関係を築けるようにしている、小さな失敗をする経験をたくさん積ませている、自信を持てるように勉強以外の多様な能力を評価する機会を用意している……など、大学進学の先、生徒が社会で活躍する時期までを視野に入れて、「総合的に」育てようとしている学校が増えつつあります。
このような、バランスよく育てようとする姿勢があるかどうか、という点も学校選択の着眼点ではないでしょうか。
いろいろな学校の説明会に足を運んでも「どこも同じだった」という感想を持つ保護者もいらっしゃるでしょうが、このような視点から眺めると、学校の違いが浮き彫りになるのではないでしょうか。