志望校の国語は、意外と難しいことで有名です[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6男子(性格:大ざっぱ/志望校:攻玉社・東京都市大学付属)のお母さま


質問

志望校の国語は、意外と難しいことで有名です。しかも苦手な詩が出ます。点を取るにはどうすればよいでしょうか?


小泉先生のアドバイス

当校の難しさは数題出題される「抜き出し問題」に起因している

得点をあげるためには、まずは志望校の問題が「どのくらい難しいのか?」「どこが難しいのか?」などをチェックする必要があります。今回は、志望校の一つである攻玉社について調べてみましょう。

下の表は、2011(平成23)年の攻玉社の問題文・設問構成です。読解問題は2問で、論説文と物語文が出題されました。



問題文自体の内容は、それほど≪難しい≫ものではありません。しかし、ご指摘のとおり、受験者平均点が49.1点、合格者平均点が57.6点(2011年)と点数的には厳しい試験と言えます。
2010(平成22)年の受験者平均点、合格者平均点もそれぞれ50.5点、57.4点と低いものでしたから、難しめの問題を出題することが当校の方針なのでしょう。それでは、どこが難しかったのか、設問形式別にチェックしていきます。

まず記述問題ですが、字数制限が50字以上60字以内ですから、苦労した生徒さんは確かに多かったと思います。しかし、そうは言っても記述問題は一問しか出題されていませんから、これだけを合格者平均点が低い理由にはできないでしょう。
選択肢問題はどうでしょうか? かなりの題数はありますが、それほど難しいと思われるものはありませんでした。選択肢の数もア~オの5択(通常は4択)と多いのですが、一つひとつの選択肢はそれほど紛らわしいものではありません。ここでは、多くの生徒さんがしっかり得点を重ねていったと思われます。

さて、抜き出し問題はどうでしょうか。今年は7問出題されましたが、受験生を困らせたであろうものがいくつかありました。抜き出し問題の難しさは、傍線部(あるいは穴あき)と本文内にある「抜き出す部分」の距離に比例します。すなわち、それが遠いほど難しい問題になります。しかも一回見逃すと、文章に紛れてしまってなかなか探しだせなくなります。つまり、いくら国語力があっても、運が悪いと正解を見逃してしまいかねない設問形式と言えるでしょう。結論としては、当校の難しさは数題出題される「抜き出し問題」に起因していると考えます。

それでは最後に、「抜き出し問題」対策について。まずは、志望校の過去問演習などにより「答案作成のペース」をつかむことが大切です。抜き出し問題はつい深入りしてしまい、余計な時間のロスをしがちです。これを防ぐ方法としては、解答の順番やペースをある程度決めるようにしておくと良いでしょう。また、「抜き出すべきもの」がどんなものか、自分の言葉に言い換えてから探すと見つけやすい場合が多いと思います。さらに、志望校の抜き出し問題の「クセ」を過去問演習で身につければ、答えを見つけるスピードは徐々に速くなっていくでしょう。いずれも、2学期以降に行うであろう過去問演習でも培われる力です。がんばって取り組んでいきましょう。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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