国語では、いくつもの答えを出して消去法で選ぶので時間がかかる[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6女子(性格:神経質・論理的なタイプ)のお母さま


質問

国語で、いくつもの答えを出して消去法で選んでいるようですが、考える時間がかかりすぎて困ります。


小泉先生のアドバイス

正解の候補を感覚で選んでいたとしたら問題です。

まずは、消去法について簡単に説明しましょう。「消去法」とは、いくつかの選択肢の中から間違えや言いすぎているものを消去していき、正しいものを見つける手法です。手順としては次のとおりです。



(1)まず、本文の内容に反して明らかに間違えているものや論理的におかしいものを消去します。

(2)また、本文にないものを含むものも消去します。ここでよく使われるのが、一般的に正しいと考えられている内容を選択肢に入れておいて、皆さんの常識に訴えるというやり方です。たとえば「自然は守らなければならない」などの内容があっても、本文になければ消去しなければなりません。

(3)言いすぎているとは、「のみ」「だけ」「すべて」などの限定が付いている選択肢です。たとえば本文で、「男の子はサッカーが好きである」とあり、選択肢で「男の子だけはサッカーが好きである」とあったら、その選択肢は×です。なぜなら、女の子もサッカーが好きである可能性が本文の表現にはあるからです。

(4)最後に二つ残し、最適なものを選ぶのですが、ここで間違える皆さんも少なくないでしょう。それぞれの選択肢を精密に読んで、より適しているほうを選びましょう。

(5)当てはめて確認とは、選んだものを穴に当てはめて前後の文を通して読んでみるといった確かめ方です。また、問いの条件でよくやる失敗としては、「本文の内容に当てはまらないものを選びなさい」などで、いつもどおり「当てはまるもの」を選んでしまうといったミスです。これらのケアレスミスは、ちゃんと確かめを行えばずいぶんと防げるはずです。

さて、以上のような手順で行うのが選択肢の消去法ですが、入試レベルの選択肢問題になるとかなり紛らわしいものが多くなりますから、消去法は非常に有効な手段だと思います。

ただし、今回のご質問の中にある「いくつもの答えを出して消去法で選んでいる」という表現は、やや不思議に聞こえます。それは、選択肢問題についてというよりも、選択肢が付いていない穴うめ問題や抜き出し問題についてお話しされているように思えたからです。

たとえば、本文から抜き出して穴うめするような問題で、入りそうなものを本文から「感覚」でいくつか自分で選んだうえで、それらについて正しいと思われるものを消去法で吟味していくということなのでしょうか。もしそうであれば、そのやり方には問題があると考えます。

まず、選択肢の与えられていない穴うめ問題や抜き出し問題では、何を入れるのか(あるいは抜き出すか)は、なんとなくの感覚ではなく、本文を根拠にして正しいと思われるものを論理的に見つけるのが一般的な手法です。もちろん、1つだけではなく、複数個正しいと思われるものが見つかる場合はあるでしょう。しかし、論理的に考えているのであれば、消去法を使うほど多数の候補が出ることはまずないでしょう。ですから、感覚で候補を見つけているように思えるのです。そして、もしそうであれば、それは手順が逆であるといえます。くり返しになりますが、論理的に正しいと思われるものを見つけ出すというのが正しい方法です。

もう1つの問題点としては、感覚で選ぶと候補の中に正しい答えが入っていない可能性が高くなるということです。選ばれた選択肢の中に正しい答えがないと、当然のことですが、消去法は無力です。このように考えると、答えの候補を感覚で選び、それらの中から消去法で選ぶことがいかに危険であるかがおわかりになると思います。

ということで、これからは本文を根拠にして、論理的に答えを導き出す方法に解き方を変えていきましょう。時間も速くなりますし、なによりも正答率がアップすると思います。消去法は、あくまでも複雑な選択肢問題の時に使用する手法だと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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