模擬試験の選び方・受け方(1)模擬試験、どう活用する? [高校受験]

9月になると、本格的な模擬試験のシーズンが始まります。受験校を決めるにあたって、模擬試験の合格可能性が、ひとつの大きな判断基準になります。保護者として、模擬試験にどのようにかかわったらいいのかを考えます。



■模擬試験を活用することの重要性

私立高校などを会場にしている模擬試験に行くと、学校の友達と遊びに行くような感覚で来ている受験生もいれば、本番さながらの緊張した表情で校舎に入っていく受験生もいます。これは、模擬試験に対する意識に大きな差があるからです。前者は、学校の先生や塾に言われて、準備することもなく当日会場に来ているケース。後者は「私立高校の推薦基準に模試の偏差値も使われることもあるから、いい成績をとりたい」など、積極的な姿勢で臨んでいるケースです。このように、同じ受験生であっても、意識の面で大きな差があります。

もちろん、大多数の受験生はこの中間のケースだろうと思いますが、模試に向かう意識がいま一つ低いようでしたら、「私立高校の推薦入試の出願基準には、模試の偏差値も使われることもあるそうよ」と、インパクトのある話をお子さまの耳に入れてみてはどうでしょう。受験料を払ってせっかく受ける模擬試験です。真剣に、かつ効果のある受け方をしたいものです。

また、多くの受験生は、模試を、単純に志望校の合格の可能性を判定してもらうものだと思っているようですが、模試にはもっと活用できる点がたくさんあるのです。



■合否の判断材料にできる模試とは?

「出願基準に使われる」というのは、あくまで一部の私立高校のケースで、中学校と私立高校の正式な入試相談で使われるわけではありません。
しかし、中学校から高校に提出される調査書が絶対評価になって以降(大阪府は相対評価)、高校側としては、調査書の成績に加えて、客観的な判断材料として、模試の偏差値を知りたがっていることは事実です。実際、中学校と高校で入試相談が行われていない所(埼玉県など)では、保護者と高校との入試相談では、模試の偏差値が判断材料として使われます。
このような場合、一般的な塾内での模試では相談材料とならないため、都道府県内の大多数の受験生が受ける、大規模な模試の結果が必要になります。

ですから、これから模試のスケジュールを組むにあたっては、塾に通っていれば塾の先生に、通っていなければ、お子さまをとおして学校の先生に確認する、あるいは近所の高校生のいる保護者に聞いてみるなどしてみるといいでしょう。聞く相手がいない場合は、志望校に直接聞いてみてもよいでしょう。

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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