公共の場で子どもが騒いでしまったら、どうすればいい?「非難されそうでヒヤヒヤ」「つい強く叱ってしまう……」保護者の悩みに答えます
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電車やバスなど、公共の場ではおとなしく静かにしていてほしいけれど、お子さまが大きな声を出したり歩き回ったりしてヒヤヒヤすることもありますよね。ひそひそと非難の言葉が聞こえたりすると、焦ってつい大声を出したり、強く叱(しか)ってしまったり……。こんな時どうすればいいのか、トラストコーチングスクール認定コーチの中原絵里子が一緒に考えたいと思います。
なぜ子どもは公共の場で騒いでしまうの?
たとえば幼児、小学校低学年(7~9歳ごろ)は、発達段階の特徴として、「マナー」や「迷惑」などの抽象的な言葉はまだ理解が難しい段階です。一方で、大人に「してはいけない」と言われたことを守ることをとおして、物事の善悪や協調性の大切さなどの理解と判断ができるようになっていきます。
また、言語能力や認識力が高まり、自然や美しいものなどへの関心が高まる時期でもあります。そのため、周囲の目新しいことや好きなものを見ると興奮してしまうことも。
一方でまだ体力や集中力が続かず、飽きてしまったり、疲れて眠い、おなかがすいたなどが原因で機嫌が悪くなったりして、我慢ができないこともあるようです。
10歳を過ぎてくると、体力も付き、周囲への配慮や守るべき社会的ルールへの理解も深まってくるため、自制できるようになってくるはずです。
保護者としては周りの目も気になるかと思いますが、騒いでしまう子どもにも、子どもなりの事情があります。叱り付ける前に、「今はなぜ騒いでしまっているのだろう」と理解しようとする、寄り添いの姿勢を持てるといいですね。
事前にできる対策、準備しておきたいものは?
事前にできる対策の一つとして、電車に乗る前に約束というのがあります。ポイントは、「5つ先の駅まで電車に乗るよ。混んでいるかもしれないけれど、何に気を付けたらいいと思う?」など、質問をしてお子さま自身に考えさせること。
「黙って乗りなさい」などと指示されたことより、自分で考えて決めた行動のほうが実行しやすいためです。親子で話し合い、「どういう行動ができたらカンペキか」などを決めておきましょう。
また、出かけることがあらかじめわかっている場合は、なるべくコンディションを整えるようにしたいですね。前日は早く寝る、出かける前や電車などに乗る前におなかがすいていたり喉が渇いていたりしないようにする、暑すぎず寒すぎず、体を締め付けない服装を選ぶなど、ちょっとした工夫でも乗り切りやすさはかなり違います。
我が家の場合、2歳差の兄妹が二人で騒ぎだしたりしないよう、困った時にさっと取り出せるアイテムをバッグに入れておくように意識していました。たとえば「あと3つ駅が過ぎたらグミ1個」など、小さな楽しみとして渡せる個包装で食べやすいお菓子や、「〇〇を探す」系など楽しみながら集中できる本、アナログなおもちゃなどです。
また、「『ん』+『か行』しりとり」「ぴったり30秒コンテスト」など、道具がなくても楽しめる遊びをいくつか考えておくようにしていました。「我慢する」より「気をそらす」ほうに持っていくと、お互いの負担も少なかったように思います。
それでも騒いでしまった時の効果的な対応・NG対応
事前に対策していたとしても、つい大きな声が出てしまったり、思ったより疲れて不機嫌になったりしてしまうことはあります。そんな時にオススメの対応をご紹介します。
1 あえて小さい声で話しかける
よく耳を澄ませないと聞こえないくらい小さい声で話しかけると、その声を聞くために静かにするはず。「聞こえていますか……何を約束していましたでしょうか……?」など、耳元に近付いて内緒話をするように話しかけてみてください。
保護者のかたと顔を寄せ合って話すこと自体うれしいはずなので、小さな声でのやり取りを楽しめるはずです。
2 承認できるところを探す
「できていないところ」ではなく「少しでもできているところ」を探して、そこを認めるところから伝えると受け取りやすいもの。
たとえば「足をぶらぶらさせずに座っていられたね」「5分は約束どおり静かにしていられたね」などと認めたうえで、「あと10分待てるとカンペキ」など、望ましい行動を伝えましょう。
3 してほしくない理由を伝える
なぜそれをしてはいけないのか、一緒に考えることも効果的です。
たとえば「なぜ電車やバスの中でうろうろしてはいけないと思う?」などと問いかけてみて。
お子さま自身が「急に止まったりすると危ないから」「周りの人にぶつかったら痛いから」など、してはいけない理由に納得できれば、自然と我慢しようと思えるはずです。
4 子どもの言い分も聞く
親子コミュニケーションで極力避けたいのが、「決め付け」です。なぜ騒いでしまったのか、お子さまなりに理由があったはず。
お子さまの意見も聞いて「退屈だよね」「うれしかったんだね」など、気持ちを受け止めてあげてください。
そのうえで、「あと3駅だよ」「〇〇が見えてきたら降りるから、あと5分くらいだよ」など先の見通しを伝えてあげると、より我慢しやすくなります。
反対に、できるだけ避けたいNGな対応として、「感情的に怒る」「大きな声を出す」「放置する」「モノで釣る」などがあります。
特に、「みんなが見てるでしょ」「おじさんに怒られるよ」など、周囲を引き合いにした怒り方はあまり意味がありません。まだ「世間体」や「マナー」といった抽象的な概念を理解できないからです。
周りではなく、保護者はどう考えているのかを伝えるようにしましょう。
まとめ
まだ幼児~低学年のお子さまにとって、長時間じっと座っていることに対するストレスや身体的な負担はかなり大きいもの。プロセスも含めて、がんばれたところはしっかりほめてください。そうしたやり取りをとおして、だんだん何をしてはいけないのかを理解していきますし、お子さま自身も成長を感じることができるはずです。
とはいえ、公共交通機関での移動などは保護者のかたの負担も大きいもの。完璧を求めすぎず、過剰に周りの目を気にすることなく、「このくらいはしょうがない」とゆるめることも必要です。ゆったりと長期的な視点を持って、「小さな成功体験」を感じられる親子コミュニケーションを意識してみてくださいね。
編集協力/Cue`s inc.
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