2011年度入試で何が問われたか<算数>
首都圏10校(雙葉、女子学院、フェリス女学院、桜蔭、武蔵、駒場東邦、栄光学園、麻布、筑波大学附属駒場、開成)の、2011年度入試・算数問題を1問1問、「難易度」「要求される能力」「目新しさ」の3つの軸から分析。「合否を分けた問題」「合否に影響のなかった問題」「低学年でも、じっくり挑戦させたい問題」について、宮本算数教室の宮本哲也先生が解説します。
(以下は、2011年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの先生の講演を抄録したものです。)
■合格できる学力をつけるために、家庭でできること
まず、模擬試験と実際の入試の違いについて説明します。
塾などで行われる模擬試験は、さまざまな学校を念頭に置いて作成されるので、いろいろな種類の問題がまんべんなく盛り込まれている「多量速解型」です。一方、実際の入試は、その学校についての適性試験ともいえるものですから、その学校からのメッセージが込められており、「少量熟考型」の学校も多数あります。このことを踏まえたうえで、志望校に合格するための取り組みが必要です。
大切なのは、たくさんの問題を解くことではなく、たくさん頭を使うことです。楽しみながら問題を解くことです。良問を5時間でも10時間でもたっぷり時間をかけて解くことです。合格するための問題の解き方を身に付けるのは、6年生の夏休みからでも大丈夫ですので、それまでは、しっかり「頭を鍛える」ということが重要です。
家庭では「頭を鍛える」ために、「睡眠学習」ということに取り組んでみましょう。
まず、就寝時刻を決めます。その時刻になったら、勉強が途中でも絶対に眠りにつくようにするのです。そうすることで、わからなかった問題が翌日になるとわかる、ということが起こることがあります。つまり、24時間頭を使い続けることができるようになるのです。
算数の学習については、すぐに答えを出すことにこだわらず、試行錯誤を楽しめるようになることが大事です。わからないことを、わかったことにせずに、子ども自身で試行錯誤をしながら取り組むことが、学力をアップさせることにつながります。親が学習を主導して、勉強を嫌いにさせないことが大切なのです。