2011年度入試で何が問われたか<理科>

首都圏主要10校の、2011年度入試・理科問題の分析結果をもとにした、「Tサイエンス」主宰の恒成国雄先生による、理科入試の出題傾向と今後の対策についての解説です。
(以下は、2011年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの講演を抄録したものです。)


■2011年度中学入試 首都圏10校の徹底分析<理科>

首都圏主要10校として、雙葉、女子学院、フェリス女学院、桜蔭、武蔵、駒場東邦、栄光学園、麻布、筑波大学附属駒場、開成を分析対象校としました。


(1)設問数・解答形式

全設問を、解答の形式によって「記号・用語・数値」「記述・作図」に分類しました。各校の設問数は、以下の表のとおりです。



※数字は設問数を表しています。


学校によって、設問数にかなりの違いが見られます。最も多い女子学院で59問、最も少ない栄光学園で19問、平均で35~40問程度になります。


次に、解答の形式ごとの、各校の傾向を見てみます。



※グラフのカッコ内の数字は、設問数を表しています。


筑波大学附属駒場は、合格倍率が7倍程度になるというように受験者数が多いため、採点のしやすさという観点から、全問が「記号・用語・数値」の出題になっていますが、その分選択肢が7~8個ある問題も多くあります。
記述問題の出題が多いと、何か特別な対策が必要と考えるかもしれませんが、その前にまずはしっかりと理科の基礎知識を身に付けることが大切です。記述問題の練習は、6年生の11月くらいからでも十分間に合います。また、国語の記述問題の練習も役立ちますので、国語にもしっかり取り組むことが大事です。

(2)設問内容

設問内容を「知識・一般教養」「計算・思考」に分類しました。各校の設問数は、以下の表のとおりです。



※数字は設問数を表しています。


「思考」問題は、その場で資料やデータを読み取って判断する問題です。理科で差が付くのは「計算・思考」分野です。


次に、設問の内容ごとの、各校の傾向を見てみます。



※グラフのカッコ内の数字は、設問数を表しています。


どの学校も思考力を見る問題が多くなり、傾向が似てきたことがわかると思います。パターン的な暗記ではなく、経験したことがないことに対応できる力を持った生徒に来てほしいという学校からのメッセージがうかがえます。特に、女子学院、フェリス女学院、駒場東邦で、思考力を見る問題が以前に比べて増えている傾向が見られます。栄光学園と麻布は、以前からずっと思考力を見る問題の割合が多い学校です。桜蔭と開成は、模擬試験に見られるような、全般的かつ総合的な知識を問う問題構成になっています。
どの学校についても「計算・思考」分野が勝負になるといっていいでしょう。思考力を見る問題と、教科書などには載っていない「一般教養」に対応できる力が鍵になります。


(3)合格するためにはどのくらいの能力が必要か?

各学校に合格するために必要な能力を、「知識力」「記述力」「思考力」「計算力」「データ処理力」「一般教養」の6つの点から分析したのが、以下のグラフです。




桜蔭、筑波大学附属駒場、開成は、特に計算力が必要とされる学校です。武蔵、駒場東邦、栄光学園、麻布は、思考力と共に記述力が必要とされる学校です。

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