2011年度入試で何が問われたか<算数>
■武蔵中学校の算数を分析 合否を分けた問題は「図形を使った条件整理」
大問4題、小問9問の構成で、試験時間は50分。出題の難易度は、昨年度より少し上がりました。合格に必要な得点率は75%。
大問1(数の性質、平面図形)は、全問正解したい問題です。大問2(速さ)は、単純な速さの問題ですので、これも全問正解したいです。大問3(条件整理[規則性])は、受験生ならこれまでに何回か解いたことがあるはずの、昔からある有名な問題です。
「2011年度の合否を分けた1題」は、大問4(条件整理[場合の数])です。図形を使った面白い問題です。(2)は、ひと工夫すれば正解を導けるでしょう。
武蔵は、合格者平均点と不合格者平均点が30点以上開いています。一方、理科と社会は5点ほどの差しかありませんので、算数で合否が決まるといっても過言ではありません。算数が得意であれば、より合格に近づくことができるでしょう。
■駒場東邦中学校の算数を分析 合否を分けた問題は「平面図形の移動」
大問4題、小問14問の構成で、試験時間は60分。出題の難易度は、昨年度より少し上がっています。合格に必要な得点率は80%。
大問1(規則性)は、書き出すことで周期が見つかり、解ける問題です。大問2の(1)(立体図形)は、四面体を使った有名な問題です。(2)(条件整理[数の性質])は、数字を入れれば簡単に解けるはずです。
「2011年度の合否を分けた1題」は、大問3(平面図形)です。(1)が大きなヒントになるので、解きやすいでしょう。
大問4(立体図形)は、見取り図を丁寧に描いて整理することで解ける問題です。(4)(5)は難問です。
駒場東邦は、くせのある問題を出題する学校ですが、今年度は比較的素直な問題が多かったようです。この学校も武蔵と同様、算数の合格者平均点と不合格者平均点の差が大きいので、算数による合否の影響が大きいといえます。
■栄光学園中学校の算数を分析 合否を分けた問題は「場合の数」
大問5題、小問13問の構成で、試験時間は60分。出題の難易度は、昨年度より少し下がりました。合格に必要な得点率は70%。
大問1(立体図形)は、ウオーミングアップにちょうどいい問題です。大問2(条件整理[論証])は、斬新な出題ですが、誘導が丁寧で解きやすいので、全問正解が望ましいでしょう。大問3(条件整理[割合])は、(1)を完答するのは大変ですが、(2)は比較的簡単です。
「2011年度の合否を分けた1題」は、大問4(条件整理[場合の数])です。(2)は複雑かもしれませんが、出題に配慮があるので比較的考えやすい問題です。
大問5(条件整理[グラフ])は、単純な水量変化の問題も、ひとひねりすれば斬新で面白い問題になるということがわかる問題です。(3)は大変難しいですが、発見があって興味深い問題です。
13問中9問正解すると69%の正解率なので、どうしても難しい場合は、4問程度は見送って、得点できそうな問題を確実に解いていくことが重要といえるでしょう。
■麻布中学校の算数を分析 合否を分けた問題は「速さと比」
大問5題、小問11問の構成で、試験時間は60分。出題の難易度は、昨年度よりやや下がりました。合格に必要な得点率は75%。
大問1(数の性質)は、仕組みに気付けば簡単に解けます。
「2011年度の合否を分けた1題」は、大問2(速さ)です。線分図や方程式で解こうとすると混乱しますが、グラフに整理できれば、それほど難しくはありません。縦軸に距離、横軸に時間をとって、グラフにすると解きやすいです。今後のために、グラフで速さの問題を解く練習をしておくとよいでしょう。
大問3(条件整理)は、特に難しくはありませんが、(2)を完答するのは少し大変かもしれません。大問4(平面図形)は、図を丁寧に描いていけば解けるはずです。大問5(平面図形)は、図を自分で描き直して考えると解きやすいかもしれません。
全般的に、昨年度に比べて解きやすい問題が多い印象を受けます。
■筑波大学附属駒場中学校の算数を分析 丁寧な取り組みができるかが合否を分けた
大問4題、小問12問の構成で、試験時間は40分。出題の難易度は、昨年度よりやや下がっています。合格に必要な得点率は80%。
大問1(グラフ)は複雑に見えますが、順に整理していけば解くことができるでしょう。
「2011年度の合否を分けた1題」は、大問2(条件整理)です。問題の意図が理解できれば、低学年でも取り組める問題ですが、それだけに入念な見直しが重要です。解答欄を埋めることは誰でもできますが、正答率は高くなかったのではないでしょうか。差がつきやすい良問です。時間が許す限り見直しをすることが、結果につながります。
大問3(数の性質[規則性])は、順序よく書き出して調べると仕組みがわかります。大問4(平面図形)は、(1)(2)を丁寧に作図しながら解けば、(3)も解けるはずです。
■開成中学校の算数を分析 合否を分けた問題は「条件整理」
大問4題、小問9問の構成で、試験時間は60分。出題の難易度は、昨年度よりやや下がりました。合格に必要な得点率は85%。
大問1(演算記号、平面図形)は、必ず2問とも正解したい問題です。大問2(割合)は、ニュートン算の問題です。大問1から2までは、比較的簡単な出題なので、10分以内で解けるようにできるとよいでしょう。
「2011年度の合否を分けた1題」は、大問3(条件整理)です。(2)(3)は易しくはありませんが、導入が丁寧で、誘導が親切なので、解きやすい問題です。
大問4(立体図形)は、見取り図と、解答用紙の展開図を見比べながら線を描きこんでいけるでしょう。(2)は補助線がイメージできれば解けるはずです。
7問正解で78%、8問正解で89%の正解率ですので、8問正解を目指して取り組んでいくようにしましょう。