6年後にお得になりそうな学校[中学受験]
6年後に偏差値を上げる学校がどのような学校か、志望校を選定するヒントとなりうる調査をしたことがある。学校の偏差値が上がる大きな要因のひとつが大学合格実績だ。首都圏私立中高一貫校の約300校のうち99校のアンケートを分析した結果、数年間連続して大学受験合格実績を伸ばしていた学校が6校(6%)あった。
6校とも偏差値を上げており、偏差値が横ばいや下がった学校はない。特に6校の中の上位校では、もともと大学合格実績が十分にあるので、多少の合格実績の増加では大幅な偏差値の増加はないと考えられる。
アンケートに参加した99校の学校難易度は、A~Gランクの学校ががほぼ全体と同じ割合で含まれており、3分の1のスケールであることを考えると、首都圏では18校が大学合格実績を継続的に伸ばし、偏差値を上げていることになる。それらの学校が、「お得な学校」ということになる。
6校について学校関係者にヒアリング調査を行って気が付いた共通点は、(1)先生方は受験指導に対して熱意があること、(2)明確な受験指導方法があり、しかも常に改善していること、(3)生徒のやる気を引き出す企画を行い、成功していること……が挙げられる。
(1)の熱意は先生方から伝わってくるので、わかりやすい。先生に注目して説明会に参加すれば、保護者にもわかると思う。(2)の受験指導方法は、各学校で特徴があり、異なっているが、生徒の学力とやる気に合わせた方法で、説得力がある。説明会では方法論だけでなく生徒に合わせて実施しているかどうかで判断すると良い。そして、(3)の生徒のやる気を重視しており、授業だけでなくあらゆる機会を利用して生徒の受験へのモチベーションを向上させる企画を行い、成功体験があることが、重要な判別要素だ。
当たり前のことだが、いくら先生が熱心でも、受験指導方法が優れていても、生徒にやる気がなければ宝の持ち腐れとなる。もちろん、先生が熱心でなければ、生徒のやる気を向上させることは難しい。つまり、先生の熱心さ・受験指導法・生徒のやる気の3つが揃っていなければ、合格実績を伸ばすことはできない。
(1)~(3)の3点が揃っている学校を学校説明会に参加して見つけることは可能だと思うが、単に、3点が揃っているだけではなく矛盾なく融合していることが重要で、矛盾点があれば、そこが問題となって成果が上がらないことが考えられる。また、うまく融合しているかどうかは、在校生の様子や大学受験の実績で判断する。いくら論理的に素晴らしいことでも、実践した結果が思わしくないということもままある。このように、今後大学受験合格実績を伸ばし続けるであろう「お得な学校」を学校説明会で探すことは可能だ。