大学進学実績を「ひそかに」上げている「お得な」私立中が狙い目
質の高い教育を受けさせたいと考えればこそ、できるだけ難易度の高い学校にわが子を入れたいと考えるのは当然の親心というもの。中学受験を控え、各校の難易度と子どもの実力を見比べながら、志望校を絞り込んでいるという保護者も多いのではないだろうか。でも、本当に難易度だけで決めてしまっていいのだろうか。中学受験に詳しい教育評論家の森上展安氏に「お得な学校」を見きわめる分析方法を聞いた。
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森上氏によると、リーマンショック後の3年間で、中学受験者数は大幅に減少しているという。2009年と2012年を比較すると、首都圏全体では平均で17%減少している。つまり、全体としては入学しやすくなっている。しかし、難易度ごとに検証してみると、必ずしもそうはいえないことがわかった。偏差値が55~59の学校では受験者増減率が102%と受験者数が増えており、偏差値のランクによっては、入学しづらくなっている学校もある。
そこで、森上氏が注目するのが、中学校の偏差値と大学合格実績の相関関係だ。通常は、合格実績が上がれば受験者数が増加し、それに比例して偏差値も上がる。しかし、大学合格実績が向上しても偏差値が上がらない学校も、少なからずあると森上氏は分析する。
大学合格率が上がっているにも関わらず、偏差値がまだ上がらない学校、それが森上氏のいう「お得な学校」であり、ねらい目の学校だ。つまり、大学合格実績からすると、偏差値以上の価値を持つ学校であるということ。森上氏は「よく探せば、お得な学校を見つけることができる」と断言する。