人とのコミュニケーションを苦手としている[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小4男子(性格:大ざっぱ)のお母さま


質問

文章を理解する能力が乏しいと思います。普段から人とのコミュニケーションを苦手としています。


小泉先生のアドバイス

「話にオマケを付ける」を心がける

他の人と話をする時に一番困るのは、「いったい何の話をしたら良いのか?」ということです。小学生の場合、友達であればまだ話題はあるでしょう。しかし、年上の人と話すことを考えると、それだけで途方に暮れてしまうかもしれません。
たとえば、お正月にお父さんの友人が遊びに来たとします。他の人がいるときは、その人たちの会話を適当に聞いていれば良いので問題ありません。でも、何かのタイミングで、そのおじさんと二人きりになったりすると、さあ大変です。しばらくすると気まずい静けさがやってきます。こんな時はおそらく、おじさんのほうから何か話をしてくれるでしょう。それに受け応えすれば良いだけですから、比較的簡単です。

たとえば、このようなやりとりでしょうか?

おじさん:「君は、野球やっているんだってね?」
ボク  :「はい、やってます」
おじさん:「どこ守ってんの?」
ボク  :「ピッチャーです」
おじさん:「へー、すごいね。球は速いの?」
ボク  :「まあ、まあです」
おじさん:「野球好き?」
ボク  :「好きです」
おじさん:「……」

残念ながら、このようなやり取りでは先は見えています。そのうちおじさんのほうが質問に疲れて、話は終わってしまうでしょう。それではどうしたら良いのか? 人と話をする時のコツとしてよく言われるのが、「話にオマケを付ける」を心がけるということです。相手の話に答えるだけではなく、少しだけ新しい話題を付け加えるようにするのです。

たとえば、こんな感じです。

おじさん:「君は、野球やっているんだってね?」
ボク  :「はい、やってます。ピッチャーです」
おじさん:「へー、すごいね。球は速いの?」
ボク  :「まあ、まあです。でも、この前の大会で相手を0点に抑えました。おまけに、ホームランも打ちました」
おじさん:「そりゃすごい。将来有望だね。実は、おじさんも野球少年だったんだ。もう少しで甲子園に行けたんだぞ。地方大会の決勝戦で負けちゃったんだけど」
ボク  :「本当ですか! ぼくも甲子園にあこがれているんです。決勝戦の時の話を聞かせてください」
おじさん:「そうか! そうか! それでは、……」

おじさんとボクの話がここまで盛り上がれば、この二人は十分にコミュニケーションを楽しんでいると言えます。そして、後者のボクのコミュニケーション能力はかなりのものだと思います。それでは、前者のボクと後者のボクの違いはどこにあるかと言えば、「話におまけが付けられているかどうか」の差です。「おまけを付ける」ができるようになると、コミュニケーション能力はぐんとアップします。機会があれば、会話が上手な人のやりとりを聞いてみてください。おそらく、実にうまく「おまけを付けている」ことに気付くことと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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