「探究」は大学入試につながる?

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「探究」は、学んだことを生かして課題を発見し、解決する学びです。令和4年度高校1年生からスタートした新教育課程で重視されており、大学入試や大学での学びにも役立つと言われています。それはどうしてでしょうか。

この記事のポイント

「探究」とは?

「探究」と聞いてどんなイメージをもたれるでしょうか。
一つのことを追究する、深く考える、大学の研究……などを思い浮かべるかたが多いでしょうか。
問題集やドリルに取り組むことと比べ、あまり勉強のイメージがわかないかもしれません。

これまでもお子さんが興味のあることを調べてレポートとして提出したり、夏休みに自由研究に取り組んだりしている姿をご覧になったことがあると思います。
また、自分が住んでいる地域の課題や、国際的な問題について、調べて発表する姿や作成したポスターを参観日で見たかたもいらっしゃるかもしれません。
これらは、自分で課題を発見し、解決する「探究」の一例です。

「探究」で思考力や表現力などが身に付き、自己理解も深まる

高等学校では、自分が興味・関心のあることや、地域や社会の課題について調べ解決方法を考えて発表する「探究」の授業があります。
「探究」を実践している学校を多く取材してきましたが、生徒が思考力や表現力などを身に付けている様子や、興味・関心を広げて自己理解を深め、進路選択に生かしている姿を多く見てきました。
「探究」の授業で実践されていることが多い4つのプロセスと身に付く力とは、どのようなものでしょうか。

1 課題を見つける
事前に先生から課題が与えられることもありますが、学年が上がっていくにつれて、生徒自ら課題を見つけることが重視されていきます。
現実と理想とのギャップを考えたり、疑問に思うことを深く考えたりする姿勢が身に付きます。

2 課題を解決するための情報を集める
お子さんがインターネットで調べている姿をご覧になったことがあるかもしれません。
情報を集める方法として、インターネットや書籍で調べることが多いようです。また、必要な情報がない場合は、インタビューをする、アンケートをとる、実験をするなどをして情報を集めることもあります。
「この情報は正しいか?」など、情報をうのみにしない思考力が身に付きます。

3 集めた情報を整理して分析する
集めた情報から「何が言えるのか」「根拠はあるのか」「二つの情報を組み合わせて何が言えるのか」など、さまざまな視点から考えることです。
事実と意見を区別したり、何が言えるのかという仮説を立てたりする思考力が身に付きます。

4 まとめて表現する
「どうすればわかりやすく伝わるのか」「説得力のある発表になっているか」と試行錯誤する経験を通して、筋道を立ててわかりやすく伝える表現方法が身に付きます。

「探究」を生かして大学入試へ

大学入試では、いわゆる「推薦・AO」といわれてきた、学校推薦型選抜・総合型選抜の募集人員を拡大する大学が増えています。

2021年度入試では国公立大学入学者の約2割、私立大学では約6割が学校推薦型選抜・総合型選抜で入学しています。
学部・学科ごとに適性のある生徒を選抜したいため、志望理由書、活動報告書、自己推薦書、面接などが重視されています。

最近は、部活動や課外活動だけではなく、「探究」の成果について、志望理由書や活動報告書に記載したり、面接で自己PRしたりすることも増えています。
大学側にとって、学問を研究するプロセスが「探究」のプロセスと似ていることから、入学後の活躍がイメージでき、適性がわかりやすいということなどがあるようです。

まとめ & 実践 TIPS

「探究」を通して思考力や表現力などが身に付き、自己理解も深まること、「探究」の成果を大学入試に生かせることをご紹介しました。
「探究」は自分で課題を決めて自由に取り組むことができ、そのプロセスや成果を大学入試に生かせる良さがあります。
また、大学入学後の学びや研究に役立つだけではなく、これからの予測困難な社会で、答えがまだない課題に直面したときにも役立つはずです。

プロフィール

長谷川 康代(はせがわ やすよ)

ベネッセ文教総研 研究員。株式会社ベネッセコーポレーションで、妊産婦・育児雑誌の編集、乳幼児、小学校、中学校、高校、大学対象の教材開発に携わる。2012年より全国の高校の先生方、有識者の先生方と、「これからの社会で活躍するために必要な力」の育成・評価に関する研究を行っている。2015〜17年度、文部科学省より委託を受けた多様な学習成果の評価に関する調査研究の研究代表をつとめた。2021年度より現職。

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