算数の図形問題が苦手で頭の中で考えているうちに混乱してしまう[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

算数の図形問題が苦手なようです。そろばんを習っているので計算は得意なほうですが、図形問題となると頭の中で想像して考えているうちに混乱してわからなくなってしまうようです。どのように勉強したらよいでしょうか?

相談者:小6男子(大ざっぱなタイプ)のお母さま



【回答】

図形など多くの問題では、頭だけではなく手を動かすことも必要になる


■手を動かさないことが問題

お子さまは大ざっぱなタイプということで、面倒くさがり屋さんなのでしょうか? 図形問題では頭の中で想像するだけでなく、“手を使う”“手を動かす”ということが大切です。といっても、具体的に何をするのかはっきりしませんね。手を動かすとは、たとえば、問題文にあって図にはない条件をすべて図にかき込む、点が移動する問題であれば移動したあとの様子を図にかいてみるなどです。あるいは、立体の切断の問題だったら、切断面の様子を図にかき込んでみるというようなことです。こうした手間を惜しむ子どもは、図形問題がまず苦手でしょう。手を使い、図形にかき込むことで初めて見えてくるものがあるのです。

■手を動かすことはなぜ大切か?

手を動かすことがなぜそんなに大切なのでしょうか? それにはいくつかの理由がありますが、なによりも、図をかく、あるいはかき込むことで新たな視点に立てるということでしょう。一番わかりやすい例として、問題文にあって図にはない条件を、図形にかき込まない場合を考えてみましょう。図形問題を解く時は、問題文と図形を交互に見ながら解くということはないと思います。そうではなく、問題文を読んで内容を理解したあとは、図形だけを見て解いていくと思います。

それなのに、もし問題文の中に図にはかかれていない条件が残されていたらどうでしょう。条件不足で、問題が解けるわけはありません。問題文を読んで条件が頭の中にあっても、実際に図に示されていなければ解法の糸口を見つけ出すことはより難しくなります。条件を頭の中ではなく図形にかき込むことで、より解きやすい問題にしたといえるからです。そしてそれは、図形問題だけでなく他の多くの問題でも同じなのです。

■上位校では特に手を動かすことが大切

手を動かすことが特に大切な問題としては、図形以外では規則性の問題、場合の数、数の性質などがあります。いわゆる上位校で頻出の問題ばかりです。もちろん、一般的な問題でも線分図をかかないと解けない問題や、面積図やダイヤグラムなどを使う必要がある難しい問題も手を動かす問題といえるでしょう。このように考えれば、算数では少し難しくなると、頭で想像するのではなく手を使ってかき出したり、絵や図をかいたりしなければ解けない問題がかなり多いといえるでしょう。

■解答解説の図を写して練習する

線分図や樹形図をかかなければ問題を解くことが難しいことがわかれば、面倒くさがり屋のお子さまも、さすがに納得してかき始めると思います。とは言っても、慣れていないとなかなか図はかけないものです。そんな場合は、解答解説にある図を写しとる練習から始めるとよいでしょう。単に解答にある図を見て、なるほどと納得するのでは自分で図がかけるようにはなりません。やはり、自分で実際にかいてみて、しっかりかけるようになることが大切です。

特に、線分図や面積図、あるいはダイヤグラムなどは問題文の条件をいかに図に表すかで苦労するでしょう。しっかり図がかければ、それこそ半分は解けたようなものですから難しくて当然なのです。また、平面図形や立体図形なども移動後の形や断面の形などを想像してかくことはなかなか難しいでしょう。それでも、解答解説の図を見ながら自分でかいてみることで徐々にかき慣れてくると思います。手を使って図をかき、あるいは数字をかき出すことで、次の展開がより鮮明に見えてくる経験を何回かすれば、手を動かすことの効力に納得して手間を惜しむことはなくなると思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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