入試直前の苦手科目攻略アドバイス 社会[中学受験]

この時期には、苦手科目をどうしたらよいかという相談を受けることが多くなる。入試まであと1~2か月となれば、親としても気が気ではない。年も押し迫ったころと記憶しているが、受験生を抱える母親から、「社会が嫌いで、これまであまり学習しなかったせいか苦手科目になってしまい、他の科目は志望校の合格ラインを越えているが社会だけは大幅に合格ラインを下回っています。どうしたらよいものか考え込んでいます。何か良いアドバイスがあればお願いします」と相談を受けた。

まず、お子さんが苦手科目に立ち向かう気持ちを持たせることから始める。お子さんは、「他の科目で得点できれば、社会1科目くらいできなくともどうにかなる」と考えているかもしれない。これまでも嫌いな社会を勉強しなかったのは、自分の都合の良いように理屈を付けて避けてきた可能性が強い。それに対抗するためには、ここで逃げていたら不合格になり、これまでの努力が無駄になることを示してあげればよい。

たとえば、子どもに過去問を解かせて、採点結果を示し「採点してみると、総合得点では合格ラインぎりぎりだ。入試当日は、緊張していて十分な力を発揮できないので、総合得点で合格安全圏を越えられなければ志望校には合格できないと考えたほうがよい。既に高得点の科目では、得点を伸ばすことは難しい。むしろ得点率の低い社会の得点を伸ばすほうが簡単だ。そのほうが得だ」ということを納得させる。そして、本人が不得意科目に立ち向かうしかないという気持ちにさせるのだ。

「社会が嫌いで、これまであまり学習しなかった」ということから、社会の知識が不足していることが考えられる。知識が不足しているのであれば社会で得点することはできないので暗記するしかないが、お子さんは暗記が苦手なことが考えられる。暗記が苦手なのは、生まれつきかもしれないので、責められない。
暗記が苦手でも短期間に効果が出る効率の良い勉強法としては、次のようなものがある。
(1)苦手な分野・単元を見つける。社会が苦手な場合でも分野・単元を分類すると、お子さんにとって、多少得意なところと本当に苦手なところがあると思う。過去に受けた模試や過去問の結果を見れば、どの分野・単元が本当に苦手かがすぐにわかる。
(2)本当に苦手で、しかも志望校に頻出する分野・単元に絞って、これまで使ってきた塾のテキスト等で徹底的に知識を暗記し、塾のテキスト・問題集で演習して定着させる。
(3)これを短期間に3回繰り返す。2回目以降はできなかった問題のみを解き、学習する分野・単元は、2週間くらいで終了できる分量にする。
(4)それができれば、過去問で社会の得点が上がってくるはずなので、少しでも得点率が上がってきたらほめてあげる。あとはこのサイクルを繰り返すだけだ。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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