2009年度入試で何が問われたか<社会>

■今後の対応・対策

(1)基礎・基本の徹底を!

最後に、これからの対応・対策ですが、まずは基礎・基本の徹底を図ってください。これは全ての教科に共通していえることですが、難しいことに走るのではなく、とにかくこれはと決めたテキストを徹底的にやることが大切です。一流の人ほど基礎を大事にします。イチロー選手が「夢をつかむことは一気にはできません。小さなことを積み重ねることで、いつの日か信じられないような力を出せるようになっていきます」と語っていますが、中学受験もまさにこのとおりです。小さなことをしっかり積み重ねていきましょう。

<基本的事項からの出題例1>桜蔭 大問2

文字の普及や教育の発展をテーマにしながら、一般的な歴史知識を問う問題

<基本的事項からの出題例2>日本女子大学附属(2回) 大問2

各都道府県の特色についての問題

(2)小学校の教科書を軽視することなかれ!

基礎・基本の徹底ともつながることですが、小学校の教科書に掲載されている図版からの出題が数多くありました。小学校の教科書を軽視することなく、写真・図版までしっかりチェックし、丁寧な学習を心がけてください。

<教科書の図版からの出題例1>桜蔭 大問1の問6

沖縄県の住居の屋根にある貯水タンクの写真が提示され、降水量が多い地域でこのような工夫が必要な理由を説明する問題。

<教科書の図版からの出題例2>女子学院 大問2の問5

東大寺の大仏づくりを進めていた頃の様子を述べた4つの文から、正しいものを選ぶ記号選択式の問題。

女子学院は、図版が掲載されている問題ではありませんが、大半の6年・上の社会科の教科書には国分寺の分布図が載っているので、これをしっかり見ておけば今の青森県にあたる地域には国分寺がないことが判断できます。

(3)読解力と文章力を! 社会科のアンテナを高く!

記述・論述問題が増加傾向にありますので、読解力と文章力を磨く努力が必要です。また時事問題も増えていますので、テキストでの学習だけでなく、常に社会に対するアンテナを高くはっておくようにしましょう。毎日、新聞を読みましょう。

プロフィール


早川明夫

社会科入試問題研究の第一人者。大学付属中高の教頭を経て、文教大学で社会科の教員養成にあたった。現在、文教大学地域連携センター講師。主な著書に『応用自在』『考える社会科地図』『総合資料日本史』『地図っておもしろい!』(監修・執筆)ほか多数。『ジュニアエラ』の総監修者。

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