中学入試の算数、「一行問題」をしっかり解けると合格者平均点に到達!?
中学入試の算数は難しいとよく言われます。確かに小学校の教科書のレベルを超えた問題が多く、一筋縄ではいきません。ただ、シンプルで解きやすい問題も出題されます。それが、いわゆる「一行問題」です。中学入試の算数では、一行問題をしっかり解けるかどうかで明暗が分かれるケースが多いといわれます。進研ゼミ算数の問題作成を担当する嘉村真裕子が一行問題の大切さについて説明します。
「一行問題」って何? どうして重要?
一行問題とは、おおむね1~3行の問題文で出題され、単純な解法を用いて解ける問題を指します。算数のテストは、大抵、最初は易しい計算問題から始まり、徐々に複雑な解法を要する問題になりますよね。前半の比較的簡単な問題が、一行問題であるとお考えください。
例えば、次のような問題です。
これらの一行問題を、比較的簡単だからといって軽視してはいけません。実は一行問題を漏らさずに正解できるか否かにより、算数の得点が合格ラインに達するかが決まる場合が多いのです。というのも、算数の配点の特性として、単純な問題(一行問題)も、複雑な問題も、1問あたりの点数が同じか、大きく変わらないことがあげられます。しかも一行問題は意外と多く、全て正解すると50~60点近くに達する学校が少なくありません。算数の平均点は60~65点であることが多いので、つまり一行問題だけで平均点に到達することもあるのです。さらに数問の難問に正解すれば、合格ラインに十分に達することができるでしょう。
とはいえ、いくら一行問題が大事だからといって時間をかけすぎると、その後の問題に取り組めなくなってしまい、高得点は望めません。ですから、一行問題では正確さとスピードを両立させることが重要です。
一行問題に取り組むことで算数の基礎力が身につく
一行問題が大切な理由として、十分な対策をすることで算数の基礎力が身につくということもあります。つまるところ、複雑で難しい問題も、一行問題の組み合わせであることが少なくありません。一行問題がしっかり解ける子どもなら、「この二つの解き方を組み合わせれば解けるぞ」などと解法が思いつきやすくなりますし、計算が速くて正確なのでミスも少なくなるのです。
ちなみに、難関校ほど一行問題は少ない傾向があります。おそらく「できて当然」と考えられているのでしょう。それでも対策が不要なわけではありません。一行問題のトレーニングをすれば、おのずと複雑な問題への備えになります。
一行問題の対策は、地道なくり返し練習あるのみ!
続いて、一行問題の対策について解説します。
◆毎日の学習のウォーミングアップとして取り組もう
一行問題の出題範囲は広いため、地道な対策が求められます。くり返し練習することが不可欠と考えてください。そこで、毎日5~10分間、一行問題を解くことを習慣化しましょう。比較的簡単な問題が多いため、勉強のウォーミングアップにも適しています。
◆問題を解く時間を計ろう
一行問題に求められるのはスピードと正確さです。「このページの問題を5分で解く」などと目標を設定し、タイマーで時間を計りましょう。
◆1行問題もノートに書いて解こう
できなかった問題は、くり返し練習することが肝心です。問題集の問題はノートに解いて、まちがえた問題をチェックしてスピーディーに解けるようになるまで練習しましょう。また、誤答した問題の単元を振り返り、重点的に復習するのも効果的です。
実際に中学校に合格した子どもの感想は?
実際に中学校に合格した子どもたちは、一行問題について、こんな感想を述べています。
「毎日時間を計ってやることで、計算問題に取りかかりやすくなった。中高一貫でも計算力は大切なのでがんばった」(千代田区立九段中等教育学校に合格した子ども)
「一行問題を毎日やると、計算が速く正確にできるようになりました」(東京学芸大学附属小金井中学校に合格した子ども)
「算数が苦手で、一行問題を始めたときは時間がかかり、不正解が多かったです。しかし、いつの間にかほぼ毎日全問正解、計算も速くなり計算力がついているように思えました」(東京学芸大学附属竹早中学校に合格した子ども)
「どの学校も計算問題は必ず出るので、毎日続けて解くことは、本番にもよかったようです」(金蘭千里中学校に合格した子ども)
「継続は力なり」という言葉を胸にがんばってください。後から振り返ると、きっと「やってよかった」と感じられる学習になるに違いありません。