「コース制」のカリキュラムは?[「コース制」の学校、どう選ぶ? 第2回]

「コース制」は学校による違いが大きい

特待生や特進、選抜といったコースは、難関大学合格を第一義に考えているので、入学後に大学受験を強く意識したカリキュラムで授業が進められます。ですから、将来は難関大学に進ませたいから我が子に効率よく勉強させたいと、「コース制」を選ぶ家庭が増えています。また、難関校に比べて少数精鋭の丁寧な指導が受けられると考えたり、高得点で合格すると特待生となって授業料免除などの特典が受けられる場合などもあったりして、その点に魅力を感じて受験する場合もあります。 ただ「コース制」とひと口にいっても学校によって違いが大きく、入学後は校舎も別、授業時間数から教材・講習まで別という学校もあれば、名称だけで実質的にはほとんど差がないという学校もあります。カリキュラム・教材といった面ではほとんど差がなくても、上位コースには授業力に優れたベテランの先生が配置されていることが一般的です。
受験するにあたっては、名称だけで選ぶのではなく、その学校の「コース制」はどのようなシステムなのか、十分調べたいものです。
また、こうした学校は、保護者が受験生であった時代のイメージと異なるケースが多いもの。今や上位のコースはかなりの難関であることが多いので、早めに最近の入試状況をつかんでおきたいものです。


「コース制」ではない学校がいいという保護者も

一方、学校は予備校ではないのだから、ホームルーム自体はあくまで「自然学級」(普通の学級編成)であるべきだという考えの学校もあります。学力差といっても、教科によって得意・不得意があるのは当然で、それは教科ごとに習熟度別編成をすればいい、という考え方です。
ホームルームは多様な生徒がいてこそ互いに刺激し合えるという部分があり、また教え合うことでより理解が深まるという面もあるので、こうしたスタンスも大切だといえます。保護者の中にも、「『コース制』ではない学校のほうがいい」というかたが大勢います。
実際「コース制」をやめたことで、できる生徒がどのクラスにもいるようになり、その生徒がお手本となってみんなが勉強するようになって、全体の底上げが達成できたという学校もあります。その学校では、何より生徒の間に一体感が生まれ、体育祭・文化祭が活発になり、みんなでがんばろうというムードができて、大学合格実績も大きく向上したといいます。「コース制」を選ぶか、「自然学級」の学校を選ぶかは、ご家庭の教育観の根本にかかわることなので、早めに両方のタイプの学校を訪ねるなどして、保護者の考えをまとめておくことをおすすめします。
また3年間をコースの優秀な同級生たちと共に競い合っていく環境で、我が子が伸びるタイプかどうか、また子どもにハードなカリキュラムをこなすだけの覚悟があるかどうかを、見極める必要があるでしょう。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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