併願校とは何かを考えてみよう[中学受験]

併願校とは何かを考えてみよう。受験生・保護者としては、第1志望校が存在するから併願校があるわけで、第1志望校しか受験しない場合は、当然、併願校はない。第1志望校しか受験しないケースは少なく、まず、受験生・保護者にとって魅力的な学校があり、その学校を第1志望校にして、万が一、第1志望校に不合格となった場合に進学先確保のために併願校を受験することが多い。

併願校は、第1志望校が不合格になったときに進学する学校なので、受験生・保護者が本意とする学校でないことが多く、仕方なく進学するというイメージがある。一般的には、第1志望校よりも難易度が低いというイメージだが、第1志望校よりも偏差値の低い滑り止めのための学校もあれば、第1志望校と同程度の偏差値の学校や第1志望校よりも偏差値の高いチャレンジ校を併願校にするケースもまれにある。
一般に「○○中学校は併願校だ」という表現をするが、併願校として受験する受験生しかいない「併願校」という学校は存在しない。「併願校として受験する受験生が多い学校」という意味であると思うが、併願校として受験する受験生しかいない学校だという誤解を招く表現だ。実際に、併願校として受験する生徒が多い○○中学校を第1志望校として受験する受験生もいるわけで、「○○中学校は併願校だ」という表現はその学校だけではなく、その学校を受験する受験生・保護者にも考えてみれば失礼な話。

四谷大塚模試の第1志望者数の割合を見ると、併願校として受験する生徒が多い学校でも、第1志望校として受験する生徒が存在する。逆に第1志望校として受験する生徒が多いと思われている学校でも、ほとんどの場合、第1志望校としてよりも併願校として受験する生徒の割合のほうが高い(例外的に第1志望の受験生がほとんどという学校も少数だがある)。つまり、ほとんどの学校では第1志望者と併願者が混在していて、受験生全員が第1志望者または併願者という学校はまずないのが実情だ。

受験生・保護者の要望や適性はそれぞれで違うはずなので、ある受験生・保護者にとっての「我が子に合った学校」が、たまたま併願校として受験する生徒が多い学校であったという場合も多く、その学校を第1志望校として受験する生徒は確実に存在している。併願校は第1志望校の代替品ということからマイナスイメージが強いかもしれないが、併願校として受験する生徒が多い学校にも人気のある学校は多い。あなたやお子さまが選定した第1志望校が、「併願校として受験する受験生が多い学校」であったとしても、無理に「第1志望校として受験する受験生が多い学校」に変更する必要はない。あなたやお子さまの独自の価値観で「我が子に合った学校」を選定すべきである。そうでないと入学後、学校不適応が起こりやすい。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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