【回答:ミスター・ツカム】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その1>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
受験の現実を自覚していないわが子を導くには?
勉強のことを言うたびに、けんかになってしまいます
小学2年生の作文。家庭での指導のしかたはどのようにしたらよいでしょうか?
受験の現実を自覚していないわが子を導くには?
Q | 現在5年生の男子で、3年生の夏から進学塾に通っています。成績はわりと良いほうですが、波があり、上がったり下がったりなのが気になります。この夏もいつもどおりに塾の課題はしっかりこなしていましたが、夏の終わりの試験の結果は、前回よりもかなり下がりました。塾に通い始めて2年なので、息ぎれしているのか、それともこれ以上は伸びないのか…。本人は受験をやめる気は全くありません。かなり自信過剰なタイプなので、現実の厳しさをいくら話しても「大丈夫、合格するから」の一点張りです。 今のままでは合格は難しいということや、現実の厳しさをわからせるにはどうすればいいのでしょうか? 今まではさまざまな試験や検定などでも挫折を知らず、幼稚園・学校などでも「できる子」と周りにチヤホヤされてきたタイプです。たまには挫折を経験するのもよいと思うのですが、その場が入試では困るというのが親としての本音です。 このような子をどう導けばよいのでしょうか? |
A | 「成績のいかんにかかわらず、わが道を行く」というタイプでたくましいですね。最近はこういうタイプの子どもは少ないですから、頼もしいですよ。小さい頃からなにかとうまくやってきた子は自信をもっていますから、それは個性だと考え、説得して変える必要はないと思います。 それより大切なこと。せっかく模試などの試験を受けているのですから、結果の分析をしてあげてください。成績に波があるのには必ず原因があります。もう伸びないのではなく、息ぎれをしているのでもありませんよ。 「得点できていない科目・単元があるのはなぜか?」「理解はしているが、演習が足りないため定着していないのか?」を、一度、過去の結果をさかのぼって分析してください。 そして、それを克服する手段・練習方法を考えてください。塾の担任に相談されてもいいです。 最後に「現実の厳しさ」や「挫折」についてですが、その手のことを一度も経験することのない人だって存在します。本人にとって挫折が必要ならば、そのときに経験しますよ。 「お子さんの人生の挫折のことは親でもコントロールできない」と考えていたほうが精神的にも健康だと思います。 それよりも、過去のデータを分析して、成績を上げる工夫をしてくださいね。 合格発表の日、お子さんが「ね、合格したでしょ!」…と言うことをイメージして。 |
勉強のことを言うたびに、けんかになってしまいます
Q | 子どもが帰宅してから、宿題や勉強をさせようとすると必ずけんかになります。宿題などを終わらせてから好きなことをするように言うのですが、勉強したくないのか、理由をつけては怒りだし、私も耐えきれず大声で言い合いになってしまいます。クールダウンのためにその場を離れると、ドアを思いきり閉めたりするので、さらに怒ってしまいます。 勉強は好きだと言っているわりに、毎回こうなので、どうしたらいいのかわかりません。どのように接したらいいのでしょうか。 |
A | お子さんの行動パターンにいつもやきもきしているんですね。よくわかります。 でもね、次のことを理解しておくと少し楽になるかもしれません。 精神科のお医者さんの言葉です。 「精神的にまともな人間は、誰でもいやなことを後回しにする」…んですって。大人でも当てはまるんですよ。逆にいやなことを先にやり続けていくと、精神的にストレスがたまります。 「勉強も好きだ」と言っていても、好きな優先順位が違うだけでしょうね。 お子さんはお子さんなりの順番で物事を処理しようと考えています。 大人からみたらものすごく効率が悪いでしょう。でもそれを体験することが成長に必要なんです。無駄な時間の過ごし方を経験しなければ、てきぱきと行動することは学べません。 では逆に、どうして宿題を先にさせたいのですか? それは子どもの都合じゃなく、大人の都合ではないですか? 宿題が後回しになることによって、結局親がついて管理しなければならない。しかし、すべて先回りして育てようとすると、子どもは「学ぶ」という貴重な体験ができません。自分で考えてやってみる。それでうまくいかないことも経験する。 それが最高の学習です。 高学年になり受験生活が佳境に入ると、トライ&エラーの連続になります。 今、自分で計画させて実行してみる良い機会だと考えて、少しおおらかな気持ちで、お子さんに接してみてください。 |
小学2年生の作文。家庭での指導のしかたはどのようにしたらよいでしょうか?
Q | 2年生になって、1週間に作文2つの宿題が定番になり、親子で悪戦苦闘しています。 1つの作文を2日間に分けて、1日目は構成メモ(書きたいこととその順番の書き出し)作り、2日目に文章の作成をしていますが、両日時間がかかりグッタリです。 また、前後のつながりがおかしかったり、日本語としてまちがえている部分の指摘をしたりしていると、子どもは「次はなんて書けばいいの?」と聞いてくる始末で苦笑いです。 どのようにアプローチしたらよいのか困っています。アドバイスをお願いします。 |
A | 年齢に関係なく作文のウマい人には共通点があります。それは何かわかりますか? そうです、多くの文章を読んでいて、文章のパターンの引き出しが多い人です。 1、2年生だったら当然文章にはあまり接していませんので「何をどう書くか」はなかなか難しいでしょうね。 物事の上達のコツには定番があります。 「守・破・離(しゅ・は・り)」ってご存じですか? これは、能の大家・世阿弥「風姿花伝」の中の言葉です。簡単に言えば「マネをして」「自分なりに応用して」「全く新しいものを生む」ということです。 ですから上達するには「急がば回れ」で、低学年の小学生の優れた作文をたくさん読んで、できれば書き写す…という作業をすれば上達の近道になります。 これが時間をかけた上達方法です。でも、急いでいるんですよね?(笑) それなら(急いでいなくても有効ですが)「マインドマップ」を利用してアイデアを出して書く練習をしてみてください。 「マインドマップ」とは加速学習法の1つで最近注目を集めています。 作文を書くテーマ(題名)を中心に書いて、5W1Hなどを思いつくままに書き込んでいきます。例えばこんな感じです。 2年生なので大人ほど上手に書けないのは当然です。文章のマズさは気にせず自由に書く楽しさを体感できたら、書くことが好きになるでしょう。今はそのほうが大事じゃないでしょうか? |