【回答:ミスター・ツカム】メンタルケア<その1>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
偏差値が届かない学校を受験することについて
マイペースな5年生。4教科の成績を上げるには?
中学受験の意義とは? 迷っています
偏差値が届かない学校を受験することについて
Q | 地元のいわゆる難関校を志望していますが、模試ではなかなか合格圏に到達できず、低迷しています。6年生の秋のこの時期でしたら、志望校の再考をするのが普通だと思いますが、4年生のときからその学校にあこがれていて、どうしても受験したいと考えています(この数年で、学校の偏差値がかなり上昇してしまった経緯があります)。他の学校も見て回りましたが、住んでいる地域は私立中学校が少ないうえに、本人もこの学校以外だったら地元の公立中学校に行くと言っています。親としても、それがベストかと思っています。 そこで質問なのですが、模試の志望校合格判定で最下位のような成績(集団の山から外れているほど)で受験するのは、学校に対して失礼になるものでしょうか。また、この学校は3回受験できるのですが、1回目の成績が良くなかった場合、2回目以降の合否に響くものなのでしょうか。 |
A | 「この学校に合格しないのなら、地元の公立中学に行く」という選択、すばらしいと思います。それだけ、キッパリと決断されるご家庭はほとんどないですから。 そこまで前向きに腹をくくったわけですから、あとは合格するために、どうするのか…を考え抜いて実践しましょう。どのような成績の人がチャレンジしようと、失礼なことではありません。堂々と受けてください。 最初の結果が、2回目・3回目に影響するかしないか…ないと思いますが、それは学校側しかわからないことです。 そして、それは自分でコントロールできませんよね? コントロールできないことは考えないことです。 その他、自分でコントロールできないものに、「出来事」「過去」「他人」があります。 逆にコントロールできるものは、「受け止め方」「未来」「自分」です。 詳しくは私のメルマガ・バックナンバー 第295回「コントロール不可能なもの」(http://www.mekimeki.net/mailmag1-7.html#295)を読んでください。 私は何度も、合格圏内に一度も入ったことのない子が合格したのを見ています。 「まだ時間はある」…とプラスにフォーカスして、1点でも多く得点できる方法を考えて実践してください。可能性が「0」じゃない限り、最後まで努力する。あきらめたらもったいないですよ。大きなドラマが待っているかもしれません。 |
マイペースな5年生。4教科の成績を上げるには?
Q | マイペースで、自分が納得しないと人の意見を受け入れられない性格で、納得するまで時間がいくらあっても足りない状況です。 がつがつこなすタイプではない子どもの、4教科の成績を上げるにはどうしたらよいでしょうか? |
A | 相談の内容をもう少し具体的な質問に変えて考えてみましょう。 「マイペースで自分が納得しないと人の意見を受け入れない性格で」…子どもも大人も、人間はすべての人がそうだと思いますので、これは全く問題ないと思います。 「納得」とありますが、何に対して納得できないのでしょうか? 中学受験することに納得できないのでしょうか? 塾に行くことに納得できないのでしょうか? さっさと宿題をすることに納得いかないのでしょうか? 復習することが納得できないのでしょうか? 普段の生活でお子さんが納得していないことを一度整理して書き出してみてください。 書き出したら「なぜそう思っているのか?」を予想します。実際にお子さんが言った言葉でもいいので書きます。 例えば、「まちがえた問題をやり直さない」→「面倒くさいから」 …たぶんこんな答えが返ってくるのでしょうか? この「面倒くさいから」と言うお子さんの本当の気持ちを考えてみてください。 まちがえた問題を復習して、次に成績が上がったらうれしいに決まっています。でも逆のことを子どもは言います。 この発言の本当の気持ちを理解してあげる努力がご両親には必要です。甘やかすということではありませんよ。おそらくこの発言の気持ちは「やりたいけど難しくて自信がない。毎日難しいものばっかりやってつらい。もっと僕の(私の)気持ちもわかってほしい」…です。 子どもに「正しさ」を押しつけても子どもは反発するだけです。子どものつらさを時々共有してあげてください。 あとは、できてないところより、できているところに焦点を当ててほめ、やる気を出してあげてください。やる気は自然とわき上がるものではありません。「小さな達成感」を重ねてそれをほめてあげれば、学習にも前向きになり、自然と成果もついてきます。 |
中学受験の意義とは? 迷っています
Q | 4年生のときに医者をめざしたいから中学受験をしてみたいと息子に言われ、調べてみました。普段の生活を見ていると、勉強はこつこつやってはいるのですが、受験に通用するほどではないようです。また、5年生になった今、どうしても受けてみたい、という様子も見られません。そこで、親としては見守っているところですが…。 先日、私立受験を終えて無事合格したかたの話を聞かせていただいたところ、受験までの様子は壮絶なもの。聞いてはいましたし、そんなものだと思っていましたが、そこまでして受験させるべきかどうかで迷ってしまいました。聞けば、中学入学後は勉強することはほとんどなくなった、とも言っていました。合格できたからいい、本当にそれでいいの? と疑問もあります。受験の意義、とても迷っています。 |
A | 「受験の意義」を突き詰めていっても正解はないと思いますよ。受験生が100 人いたなら100通りの考え方があり、1000人いたら1000通りの考えがあります。 お子さんの性格を見られて、最も適しているであろうという方法をとられるのがよいでしょう。たとえそれが中学受験でなくてもいいと思います。 「聞けば、中学入学後は勉強することはほとんどなくなった」…というのも、そのお子さんの情報であって、全員がそうなることでもありません。中学に入ってもそれ以上に充実して学習するお子さんもいますよ。 本人が「やらされている」…と感じる受験なら本人もご家族も大変でしょうし、「やってみるんだ。どんなことがあっても」…という受験なら、それがどんな結果になったとしても、それは有意義で人生の貴重な体験になることでしょう。 何がなんでも私立中学、結果大優先の受験と、チャレンジこそすばらしいことという受験では、「受験のとらえ方」も違いますし、塾などのスケジュールなども違ったものになりますよね。要は、ご両親がお子さんにどんな人生、どんな人物になってほしいかということが明確になっていれば、周りに影響される必要はいっさいないと思います。自信をもって決断してください。 |