□×15=80といった問題となると、どう解けばよいのか迷う時がある[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小4女子(性格:論理的)のお母さま


質問

普通の計算問題は早く解けるのですが、□×15=80といった問題となると、どう解けばよいのか迷う時があります。筆算をしないと4桁÷2桁などができません。


小泉先生のアドバイス

まずは「具体例」で十分に慣らして、それから「原理」を教える

「□×15=80」というのは、「□を求める計算」や「虫食い算」と呼ばれる問題です。この問題を勉強する時は、以下のような「逆算の基本公式」を習うと思います。ですから、この公式を暗記して計算すれば良いのですが、複雑なものになるとつい迷ったり、間違えてしまったりする場合があります。

(1)□+A=B → □=B−A   (5)A+□=B → □=B−A
(2)□−A=B → □=B+A   (6)A−□=B → □=A−B
(3)□×A=B → □=B÷A   (7)A×□=B → □=B÷A
(4)□÷A=B → □=B×A   (8)A÷□=B → □=A÷B

特に、「A−□=B → □=A−B」や「A÷□=B → □=A÷B」は間違えやすいと思います。そんなお子さまの様子を見て、「等式の性質」を使って、原理から教えたくなるご両親もいらっしゃると思います。たとえば、以下のような説明です。

等式の両辺に同じ数を加えても、やはり等式は成り立つから、
□−A=B  両辺にAを加えて
□−A+A=B+A  左辺のAが消えて
□=B+A  となる。
よって □−A=B → □=B+A

この説明で「わかった!」というお子さまもいると思いますが、やはり、ますます「?」になるお子さまのほうが多いのではないでしょうか。論理的な思考にまだ対応できない場合は、たとえ「てんびんのつりあい」を使って上手に教えてもなかなか納得してくれません。

そんな場合は、簡単な具体例を示して、そこから出発させる方法が良いでしょう。たとえば、□×15=80で迷ってしまったら、2×3=6という具体例より、2 を求めるには6÷3にすれば良いとその場で考えるわけです。そして、この計算式の位置関係から、□=80÷15を導き出させるのです。
この方法なら少し時間はかかりますが、迷うことはなくなりますし、何といっても公式のように忘れることはありません。問題を解いている時に迷ったら、2×3=6(もちろん 3×5=15のようなほかの例でも良い)を使って自信をもって計算をすすめられます。やがて、具体例を使う必要がなくなるくらいに逆算に慣れていくことでしょう。そして、スムーズに逆算ができるようになったら、その時に「等式の性質」を使って逆算を原理から教えてあげるとすんなりと理解できると思います。

「具体例」と「原理」を比べると、教える側としては「原理」から指導したくなるものです。しかし、小学生の場合はそのような教え方を受け入れられない生徒も少なくありません。そんな場合は、まずは「具体例」で十分に慣らして、そして十分にやり方がわかった時点で「原理」を教えるというステップを踏むことが大切です。これは算数だけではなく、国語などでも同じことが言えると思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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