2011年中学入試受験者数予測の検証[中学受験]

4月の当コラムで、わたしは2011(平成23)年中学入試では2010(同22)年入試以上に受験者数が減少し、多くの学校で難易度は下がるのではないか、と予想した。塾に通わないで中学受験を行うケースはほとんどないので、小6の塾生数でその年の受験者数を判断できる。
受験者数が減少する理由は、リーマンショック当時の新5年生の入塾者数が例年よりも少なかったと思われるからだ。その新5年生が2011(平成23)年入試で受験生となる。新5年生からの入塾者数は塾生数全体の大きな割合を占めているので、この時期に入塾者数が少なくなると、この学年の受験者数に与える影響は大きい。また、1年間入塾を控え、6年生になるときに入塾する生徒は少ない(6年生からでは中学受験は間に合わない)。つまり、リーマンショック当時の新5年生の入塾者数が減少したことで、2011(平成23)年中学入試は多くの学校で難易度は下がると予想した。
もちろん、今年の受験者数は、リーマンショックの影響だけでは予測できない。他にも影響する要素はある。たとえば、今年の小6人口の増減だ。一昨年に比べ昨年は小6人口の増減は首都圏全体で+0.1%とほぼ変わらなかったが、今年は昨年に比べ首都圏の小6人口は1.1%増加するという予想がある。内訳は東京+2.0%、神奈川+1.4%、埼玉−0.4%、千葉+1.1%と地域で増減に違いがあり、特に東京の小6人口増加率は+2.0%と大きく、無視できない。私立中高一貫校で受験者数が減少する要因は、公立中高一貫校や公立中学校へのシフトがあるが、小6人口以外には、受験者数が増加する要因は見当たらない。

今回、わたしの予想を検証できるデータが得られたので、公表したいと思う。今年の4月に行った四谷大塚の第1回合不合予備(2010(平成22)年4月11日実施)の志願者数を前年対比で分析したところ、男子が−7.6%、女子が−7.2%も減少していることがわかった。合不合テストは始まったばかりで、最終の12月12日の第4回までのデータを見なければなんとも言えないが、受験者数が大幅に減少する可能性は高い。

受験者数が大幅に減少すると、どのようなことが起こるだろうか。模試の合不合判定規準となる偏差値は前年の偏差値を基準に学校ごとの大学受験合格実績などの要素を加味して作成する。今年の予想偏差値が大幅に変動しているようには見えないので、合格可能性はほぼ前年並みの基準となろう。
しかし、受験者数が少なければ学校は合格ラインを下げて入学者を確保するので、模試の偏差値では不合格の学校も合格することがありうる。特に難易度B以下の学校であれば、模擬テストでは合格が難しいという判定でもチャンスはあるので、最後まであきらめずにがんばり続ければ志望校に合格する可能性が高くなる。また、補欠合格や繰上げ合格も多くなると考えられる。第1志望校が不合格で併願校に入学手続きをした直後に第1志望校から繰り上げ合格の連絡があるというようなケースも多くなるだろう。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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