2010年度入試で何が問われたか<国語>

雙葉中学校

雙葉は、以前は詩など感性を見るような問題が多かったのですが、標準的な入試問題に変わりました。2010年度は、説明的文章1題、物語文1題に漢字でした。記述問題と知識問題がそれぞれバランスよく出題されています。ただ、記述問題の割合が年々少しずつ増えていますので、2011年度はさらに増えることも考えられます。記述の問題の答え方を習得し、知識問題に対する十分な準備も必要でしょう。

フェリス女学院中学校

物語文1題、説明的文章1題、文法問題1題、漢字8問の構成です。受験者平均点が高い学校であり(2010年度:68点、2009年度:63点、2008年度:69点)、合格者平均点をプラス8~10点とすると、目標点は75~80点とかなり高く設定する必要があると思います。
ケアレスミスを最小限にし、選択肢問題などは確実に得点を重ねていくことが重要です。また、意見を述べさせたり、物語を創造させたりするなど「考えさせる」長文記述も出題されます。事前の学習によってかなり得点が違ってきますので、決められた字数内で書く練習をしておくとよいでしょう。

最後に、選択肢問題と抜き出し問題が中心の渋谷教育学園幕張・早稲田実業学校中等部・女子学院についてです。

渋谷教育学園幕張中学校

物語文1題、説明的文章1題でした。記述問題3問、選択肢問題8問ですが、選択肢問題の難度は高いです。合格者平均点が、2007年度:67.4点、2008年度:60.4点、2009年度:67.1点、2010年度:54.2点と、隔年ごとの上下が顕著な「隔年現象」が見られ、今年度は難しかったようです。問題文の難度が高い年は、選択肢から本文を補完して、文章を理解するようにしましょう。問題文は「友人(友情)」「父母子」が頻出テーマです。

早稲田実業学校中等部

物語文1題、説明的文章1題でした。この学校の特徴は、比較的問題文が短いのと、設問数が多いことです。対策としては、問題文を速く読む練習をし、答案作成はスピーディーにこなすことを心がけましょう。また、抜き出し問題も非常に多いので、抜き出し問題が苦手なお子さんは、その演習に注力しましょう。2010年度入試の注目すべき点は、めずらしく記述問題が出題されたことです。

女子学院中学校

読解問題が3題に、漢字6問の問題構成でした。選択肢問題、抜き出し問題が中心です。40分の試験時間の中で設問がたくさんありますので、テキパキと解いていかないと時間が足りなくなるかもしれません。ただし1問1問は取り組みやすい設問ですので、問題文を速く読む練習をして、答案作成をスピーディーに行い、1つの設問に固執しないことが大事です。また2010年度は、33問中12問が知識問題でしたので、知識問題に対する十分な準備を行っておきましょう。

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6年生のお子さまをお持ちのかたに、志望校合格のためにはこれから国語をどのように学習すればよいのかを簡単にお伝えしたいと思います。まず、4月~8月は基礎的な力をつけることが大切です。国語の基礎とは、まずは漢字や慣用句などの言葉や文法に関する十分な知識です。コツコツ勉強することが必要ですから、しっかり学習していってください。また、問題文をしっかり読み、論理的に問いに答える姿勢も大切です。さらには、記述問題の答え方や選択肢問題の解き方などの方法論も身に付けておきたい基礎力といえるでしょう。

国語の過去問対策は9月頃から始めるとよいと思います。その時点で40%以上得点できることを目標に、今から取り組んでいってください。国語は短期間でも偏差値を伸ばせる科目なので、あきらめないことが大切です。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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