オープンスクールの意義[中学受験]

オープンスクールは、文化祭と同様、子どもが参加する学校イベントとして、自分自身で志望校を検討することができる貴重な機会と言える。9月~10月の秋に行われる文化祭に対し、オープンスクールは4月から行っている学校もあるが、初夏の6月がピークとなる。ここで、オープンスクールの意義について少し考えてみたい。

子どもが参加する学校イベントとして、文化祭では在校生の様子や学校の雰囲気を確認することができ、オープンスクールでは授業や学校の設備などを確認することができる。学校側からすれば、オープンスクールは学校の中身を紹介するために行うもので、生徒募集のイベントなので、多少は脚色されているところがあると考えるべきであろう。学校がまったく違う内容で説明するようなことはないが、オープンスクールの目的を考えれば多少は良く見えるよう演出するのは仕方がない。その意味では、入学してみたらオープンスクールのとおりではなかったというようなことも十分あり得ると覚悟したほうがよい。

文化祭ではオープンスクールに比べ、在校生の素顔を見ることができる。確かに、文化祭で活気がある学校は、やはり普段でも活気があるようだ。文化祭も生徒募集のイベントのひとつではあるが、学校はオープンスクールのように在校生を管理することはできない。文化祭では、学校がいくら在校生に注意しても普段の言動が出てしまうものだ。そのように考えると在校生で志望校を見極めるには文化祭に参加するほうがよいかもしれないが、文化祭だけでは学校生活をイメージすることは難しい。子どもが入学後を考える時、授業や設備を確認できるオープンスクールのほうが具体的なのでイメージしやすいのではないだろうか。

子どもに目標となる志望校を決めさせて、受験勉強に対するやる気を引き出そうという保護者が多くなっているせいか、最終的に志望校を受験生本人に選定させるご家庭は年々増える傾向にある。最近は、そのようなご家庭が、全体の受験生の約70%にもなっている、というデータがある。そうであれば、ますます受験生本人が参加することができる機会として文化祭だけでなくオープンスクールも重視すべきであろう。オープンスクールは、文化祭では確認できないところを確認することができるチャンスなのだ。

ところが、オープンスクールを行わない学校も多いこともあり、文化祭に比べ参加する受験生・保護者が少ないようだ。子どもに学校を見せることもなく志望校を決めさせるのは、入学後に不本意入学となる危険もあるし、受験勉強に対するやる気を引き出す効果も半減するのではないだろうか? もっと親子でオープンスクールに参加しても良いように思うがいかがであろうか。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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