ムラがあります。どうしたら安定するでしょうか[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。



質問者

小6女子のお母さま


質問

(国語は)苦手や得意がはっきりしておらず、良い成績とそうでないときと、とてもムラがあります。どうしたら安定するでしょうか。(算数は)計算や1行題などは、ある程度取れますが、大問はムラがあります。易しめなのが解けないときと、難問が解けるときがあります。もう少し安定してくれるとよいのですが。


小泉先生のアドバイス

「性格」や「出題傾向」、あるいは「試験時の状況」などさまざまな角度から検討する

「ムラがある」というお悩みですが、模擬試験の偏差値は60前後とかなり高めですから、おそらく試験によっては50前半の偏差値を取ってしまうということでしょうか。難しい問題ならともかく、易しめの問題を落としてしまうのはやはり不安です。本番の試験までには、成績のムラはきっちり改善しておきたいものです。

さて、「成績のムラ」の原因はいろいろ考えられますから、「性格」や「出題傾向」、あるいは「試験時の状況」などさまざまな角度から検討する必要があります。原因がはっきりしないと、有効な対策を講じることも難しいと思います。考えられる原因を一つずつあげ、お子さまのケースに当たっているかどうかをチェックしていってください。
たとえば、「性格」という視点から考えてみましょう。お子さまの場合はとても「神経質なタイプ」ですから、算数におけるステ問の処置が非常に苦手である可能性が考えられます。すなわち、難しい問題に時間をかけ過ぎて易しい問題に手が付けられないということです。ご質問の中にも、「難問が解けるときがあります」とありますが、問題を上から順に解き、結果として時間が足りずに点数が伸びないのかもしれません。もちろん、たまたまステ問に出会わなければ、スイスイと最後のほうまで解けるので成績にムラが出るのです。
ステ問をうまく処理しているかどうかは、試験のあとで解答・解説を読み、本来であればできた問題をどの程度落としているかによって判断できます。時間があれば解けた問題や易しい問題を取りこぼしていたら、それは効率の悪い点数の取り方をしている証拠です。時間配分と問題を解く手順をもう一度確認し、難しそうな問題にあまり手間取らないことです。問題をさっと読んで、解法の方針が浮かばなかったら、その問題をあきらめる潔さが求められます。ちょうど道に迷った時のように、そのまま進むか、あるいは引き返すかの選択と同じです。引き返すというのはなかなか難しいことですが、ダメかなと思ったら傷口が広がらないうちにその問題を捨てる(引き返す)決断が大切です。

性格的というよりも、出題傾向が原因である可能性もあり得ます。算数の場合、苦手単元は過去に受けた模擬試験を調べれば、比較的簡単に気付くとは思います。しかし国語は、意外に苦手がわからない場合もあります。
たとえば、物語文・論説文・随筆など文種によってムラが生じていないでしょうか。お子さまの場合、「神経質」で「論理的」なタイプですから、物語文におけるテーマや筆者のイイタイコトを大きくとらえることが苦手である可能性はあります。そして、それを外すと文章全体の方向性を取り違えてしまい失点してしまうのです。
あるいは、テーマにおける得手・不得手はないでしょうか。特定のテーマ(たとえばテーマ「言語・コミュニケーション」)が出題されると、どうしても読めないとか、読む気力が萎えてしまうということはないかを考えてください。
さらに、特定の問われ方や選択肢の出され方に違和感を覚えることはありませんか。たとえば消去法でなければ正解を選べない選択肢であるとか、「より適している」という視点からでないと正解が選べないようなきわどい選択肢問題などです。これらも、「神経質」タイプの子どもが陥りやすいところではあります。

最後に挙げた「試験時の状況」とは、試験当日のコンディションなどです。体力的に疲れていなかったか(例:前日、よく眠れなかった)、あるいは当日何かトラブルがなかったか(例:当日、財布を落とした)などです。小学生の場合、ささいなことが原因で試験に集中できない場合もあります。試験当日の、お子さまの肉体的・精神的状態をチェックすることも大切だと思います。

以上、お子さまの性格や出題傾向などから原因の可能性をいくつか挙げてみました。当たっていそうな指摘もあれば、的外れなものもあるとは思います。しかし、大切なことは「成績にムラがある」ことに対して考えられる原因をいくつも挙げ、必要に応じて対策を講じることです。放置しておいても問題は解決しませんから、少しでも早めに手を打つことです。成績の高め安定を目指し、さまざまな角度から原因を究明し、その対策を講じる努力をし続けることが大切だと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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