我が子をやる気にさせる方法 その3[中学受験合格言コラム]

保護者が、我が子をやる気にさせたことで高い難易度の中学校に入学させることができたと仮定すれば、どのような方法で我が子をやる気にさせることができたのであろうか? その方法をアンケートで質問した。

我が子をやる気にさせる方法 その3[中学受験合格言コラム]


<表1>は我が子をやる気にさせる(やる気になる)方法をまとめたものである。大分類としては(1)「親が我が子をほめたり、励ましたりしてやる気にさせる」(2)「親の言動で我が子が自律的にやる気になる」(3)「友人や先生からほめられたり、励まされたりしてやる気になる」の3種類に大きく分類できる。


【図1 我が子をやる気にさせる方法】

大分類 中分類 小分類 回答数
親がほめたり励ましたりする 親がほめる 小さなこともほめる・認める 59 12 10 77% 16% 13%
テストの良い成績をほめる 2 3%
親が励ます 小さなことも慰める・励ます 47 8 61% 10%
志望校・目標を示して励ます 17 22%
入学後のことを話して励ます 18 23%
好きな物を与えて励ます 4 5%
親の言動で子どもが自律的になる 親の態度を見せる 12 12 4 16% 16% 5%
自律心をくすぐる 6 8%
気分転換させる 2 3%
友人や先生からほめられたり励まされたりする 友人から励まされる 友人から励まされる 6 3 3 8% 4% 4%
先生からほめられたり励まされたりする 先生からほめられる 3 1 4% 1%
先生から励まされる 2 3%
合 計 77 77 77 100% 100% 100%


(1)「親が我が子をほめたり、励ましたりしてやる気にさせる」は、「親がほめる」と「親が励ます」の回答を合計したが、「ほめる」よりも「励ます」方の数が多く、ほめることがあまりうまくない親が多いことを物語っている。「ほめる」は「テストの良い成績をほめる」だけではなく「日常の小さなことをほめたり、子どもの努力を認めたりする」ことなど、ほめてあげる機会はたくさんあると思うので、探してどんどんほめると良い。
「励ます」は「志望校や目標を示して励ます」と「入学後について話して励ます」の件数が顕著に多く、我が子をやる気にさせる方法として非常に有効であることがわかる。我が子に志望校を選定させ、文化祭やオープンスクールに連れて行き、入学後をイメージさせておくことで、日常的に「志望校や目標を示して励ます」と「入学後について話して励ます」を同時に行い、やる気にさせているケースが多いようだ。

(2)「親の言動で我が子が自律的にやる気になる(やる気になるようにする)」は自律した子どもには効果が高いと思う。ただし、子どもが親の言動でやる気になるのを待つ方法なので、時間もかかり、親は相当我慢をする覚悟が必要となる。方法としては、親の(協力する)態度を見せて、自律心をくすぐり、気分転換でやる気になるのを待つのだ。
「親の(協力する)態度を見せる」:親が子どもの受験に協力する態度をとる等で、親のためにがんばろうという気持ちにさせることでやる気を引き出す。
「自律心をくすぐる」「受験は子どもの意志で行っているわけで、志望校も子どもが選定するが、子どもが希望すれば親はアドバイスを行う」のように、子どもが受験を前向きに考えることでやる気にさせる。
「気分転換させる」:子どもを「叱る」「励ます」「ほめる」のではなく、気分転換させてやる気になるのを待つ。

(3)「友人や先生からほめられたり、励まされたりしてやる気になる」は、親からではなく、友人や先生からという点で、違いはあるが、本質的には変わらない。信頼できる第三者から言われると納得して、やる気になる性格の子どもであれば、第三者にお願いして子どもをほめたり励ましたりして、やる気にさせることもできる。先生から励ましてもらうのであれば、同時に問題解決の方法を指導してもらって、効果的にやる気にさせることができる。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

子育て・教育Q&A