横浜共立学園中学校1年生 Yさんのお母さま

小学校生活も塾も、とにかく楽しんだYさん。2度の転塾も、より良い環境を求めてのこと。物事をすべて前向きにとらえようとするYさんの天性の明るさと、挫折(ざせつ)も含めて起こることすべてを受け入れ、直感を信じたお母さまの気持ちが、受験という荒波を乗り越えていく力になりました。(2010年1月20日)


profile
横浜共立学園中学校1年生
Yさん

神奈川県在住。
Yさんは、2009年4月に横浜共立学園中学校に入学。現在中学1年生です。ご両親と現在小学5年生の妹さんの4人家族。明るく人なつっこい性格で、落ち込むことがあっても、すぐに気持ちを切り替えられる強さをもっています。文化祭で見たダンス部の演技に魅了され、志望校への熱い思いは、最後の最後までぶれることがありませんでした。今は念願がかなって部活動に打ち込み、学校生活を十二分に楽しんでいます。

より良い環境を求めていろいろなタイプの塾を経験したが、最後は直感で塾を決定。

中学受験を考えられた経緯から教えてください。

私自身、公立中学の教育内容に関する不安をもっていました。個人的に中学生に英語を教えていて、公立中学校の英語の課程の内容に物足りなさを感じていました。だから、自分の子どもには、公立も私立もどちらの世界も見せて選ばせたいと思いました。
そこで、とりあえず塾に行ってみようかということで、公立進学と中学受験の2つのコースがある塾に3年生の2月から通い始めました。学校見学会や文化祭には4年生から連れて行き、実際の学校を見せました。そのうちに娘は公立と私立の違いをなんとなく感じ、また文化祭でダンスの発表を見て、「中学校に入ったら、ダンスがやりたい」と思ったようです。受験をすることは、娘の中で自然に決まっていったようでした。


塾が始まってからの生活はいかがでしたか?

実は塾を2回変えているのです。
最初の塾は、本人はとても楽しく通っていたのですが、私はそこのオリジナルのテキストがわかりにくいのではないか、という不安をもっていました。さらにテキストに書かれている内容と市販の参考書の解説が食い違っていたことを質問した際に、講師のかたの答えがあいまいで、結局「これは試験に出ませんから覚えなくていいです」というお返事だったことが決定打になって、新5年生のカリキュラムになる2月に転塾を決意しました。
私としては試験に出る、出ないに関係なく、子どもが理解したがっていることにはちゃんと答えてほしいと思ったのと、テキストがしっかりとしているところがいいと考え、四谷大塚系の塾を検討し、兄弟割引きもあったので、妹も一緒に入塾しました。


転塾はスムーズにいきましたか?

テキストの内容には満足していましたし、娘も授業は楽しいと言っていましたが、今度は宿題に追われるようになってしまいました。しかも、月・水・金と塾があり、帰宅が夜9時半過ぎになるのに土曜日の朝にはその週の確認テストがあるので、振り返る時間もないのです。そのうえ、その結果が順位として出てきてしまうので、最初は順位なんか気にしないと思っていても、私自身が数字にとらわれるようになってしまいました。本人は、思うような成績がとれなくても全く落ち込まない。むしろ成績のいいお友達のことを「すごいんだよ」とほめて、ケロッとしているのですが、その様子を見ていて、「自分もがんばろうと思わないの?」とイラッとしてしまう。そのうち、朝起きたとたん「宿題終わったの?」という会話で1日が始まるようになってしまい、「こんな状態でいいのだろうか?」と自問自答するようになっていきました。

Yはともかく、妹にはもっと負担の少ない塾を探したいと思っていたところ、近所に新しい塾が開校するということで、その説明会に行ってみました。説明会には安田教育研究所の安田先生がいらしていて、そのお話に共感したのと、塾の先生の意気込みが感じられたので、私だったらこの塾に行きたいと思ったのです。
できたばかりの塾でしたから実績もないですし、何のデータもないので、長年の経験をもつ先生の勘が頼りという、アナログ的なところも気に入りました。最終的にはなんだかわからないけれど、ここにかけてみたいという直感で決めました。
そこで、一度体験授業に行ってみようということになり、Yは国語が苦手で、私も国語を伸ばすにはどうしたらいいのだろうと思っていたので、国語の授業を見学しました。そうしましたら、最初から最後までゲラゲラ笑いどおしのおもしろい授業で、結局姉妹で転塾しました。Yが5年生の秋のことです。


できたばかりの塾での学習はどうでしたか?

最初は完成されたテキストもなく、その日に勉強する分が渡されてそれをファイルしていくので、正直使いづらかったですし、塾の運営そのものも、走りながら決めていくというような様子で大変そうでしたが、先生がたの熱意は十分伝わってきましたので、それを信じてついていきました。

Yは「算数メソッド」という時間が好きでした。これは一斉授業ではなく、前の週に勉強した問題をそれぞれが自分で解いていくもので、Yは先生とやりとりをしながら解決していく過程が楽しくてしかたないようでした。先生との距離が近く、本人もすぐに塾になじんでとても楽しそうに通っていたので安心できました。平日は週4日授業で、塾で過ごす時間が長かったのですが、すべて塾で面倒を見るというスタイルでしたので、以前のように課題に追われてストレスをためるようなこともありませんでした。

Yは算数では最後、女子で一人だけ上位クラスに入れたのですが、男子ばかりの環境の中でもやれたということも自信につながったようでした。何かひとつに自信をもつと、他にもいい影響がありますね。
 他にも自信をもつきっかけになったのが、6年生の夏休みに、算数300題を全問正解するまで解くというチャレンジがあったときです。夏休み明けまでに男子3人だけが終えることができたという結果でした。先生は「無理にやらなくてもいい」とおっしゃっていたのですが、私はあきらめさせたくなくて、「1日1問でもいいから」と励ましてやらせていました。他の課題もこなしながらなので大変だったのですが、11月の初めに全問クリアできました。結局、全問クリアできたのは、女子では一人だけだったので、そのことも大きな自信となったようです。


志望校はどのように決めましたか?

最初にお話ししたように、4年生の頃からいろいろな学校に足を運んでいました。私はクリスチャンなのですが、本人も日曜学校に通っていて教会が大好きだったので、キリスト教の学校が本人に合うと思いました。幸い、住んでいる横浜はキリスト教系の学校が多いので、選択肢は多かったですね。
なかでも、私は横浜共立学園の設立の経緯と歴史的な重みに感じ入り、Yは文化祭でのダンス部の演技がとても気に入って、自分がまるでそこの部員のようにノリノリで見入っていました。他には、湘南白百合、フェリス、横浜英和、捜真、洗足、頌栄などを見に行きました。
最終的には、1日の午前に湘南白百合学園 午後に横浜富士見丘学園、2日に横浜共立学園A、3日に捜真女学校を受験しました。


プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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