横浜共立学園中学校1年生 Yさんのお母さま

入試本番、1時間目の科目で時間配分をまちがえて失敗。しかし、前向きな性格が功を奏し、気持ちを切り替えていい結果を得られた。

実際の受験の様子を教えてください。

受験は、湘南白百合の面接から始まりました。Yが受験した学校は午後入試を除いてすべて面接があったので、面接対策を塾でやっていただきました。最初の塾の説明会で講演されていた安田先生が、わざわざ面接の練習に来てくださったのです。安田先生は優しく接してくださったので、練習はとてもうまくいきましたし、娘も緊張するタイプではないので、本番は大丈夫だろうと思っていました。
ところが本番では意外に緊張していたようで、駅から学校に向かう途中でも「帰りたくなった」と言うほどでした。しかも、面接官の先生が、とても怖い表情をされているように見えて…。学校には何度も足を運んでいたのに、一度もお会いしたことのない先生で、私も緊張してしまいました。しかし、いざ面接が始まったらスムーズに進み、いい雰囲気で無事終えることができました。
驚いたのは少し前には「帰りたくなった」と言っていたYが、想定外の質問にも笑顔で即座に答えていたことです。自分の娘ながら、この落ち着きぶりと機転には驚きました。ほっとして部屋から出ると、次のかたがとても緊張されている様子だったので、思わず「大丈夫ですよ」なんてお声をかけたくらいでした。


スムーズな受験スタートがきれたのですね。

しかし、結果は不合格でした。私が「大丈夫ですよ」と励ましたかたも含めて前後のかたは合格していて、励ましたほうが落ちたわけです。自分の娘だけが落とされたような気がして、落ち込みながら、横浜共立の試験を受けている娘を迎えに行きました。
不合格という結果をなんて伝えようかなと考えて待っていると、娘がニコニコして出てきました。駅に向かう道すがら、ずっと「面接がおもしろかった」と話し続けていました。途中で喫茶店に入って、「ところで、試験はどうだったの?」と聞くと、「それがさぁ…ママ! 最初の国語で、終わる時間がわからなくなっちゃって」と言いだしたのです。試験が始まった時間を確かめなかったので、時間配分がわからなくなり、最後の問題まで解けなかったと。さすがの娘もこのときは血の気が引いたそうです。けれども、塾の先生の「最後まで絶対にあきらめるな!」という言葉を思い出し、「国語は苦手だから、最後まで解答できてもまちがっていたかもしれない。よし、次の算数からがんばろう!」と、休憩時間中に立ち直ったそうです。算数は解けたというので、この子の前向きな性格にはつくづく感心しました。
それでも、帰りの電車で湘南白百合の不合格を伝えたら、その後は黙って寝てしまいました。


不合格をどうやって乗り越えられましたか?

電車を降りてから、そのまま塾に連れて行きました。先生に気持ちを戻していただいてから迎えに行こうと思っていたら、30分もしないうちに「もう大丈夫だから迎えに来て」という電話が入りました。切り替えの早さは天性のものですね。
翌日は捜真を受験しました。その日の夕方が横浜共立Aの発表でしたが、模試の合格可能性も芳しくなく、国語の失敗もあったので合格は難しいだろうと思い、発表が始まってしばらく、他の人が感激している様子を携帯で撮ったりしていました。それから掲示板を見に行くと、すぐに娘の受験番号が目に飛び込んできました。しばらく信じられなくて、ボーッとしてしまい、それから塾の先生にお電話したら、「お母さん、すぐに事務室に行ってください」と言われて、慌てて書類を受け取りに行きました。
いろいろありましたが、最終的に娘にとっていちばんいい結果で終わることができて良かったです。


最後に、これから受験をされるかたへのメッセージをいただけますか?

入学式で、校長先生が「皆さんは自分がこの学校を選んだと思っているでしょうが、実は神様が皆さんを選んでくださったのですよ」とおっしゃいました。実は私自身も合格発表のとき「これは入れていただいた」と思ったので、このご縁は、人知を超える大きな力の配慮だと感じています。
受験を通して思うことは、合格という結果はもちろん喜ばしいことですが、その過程に意味がある。受験を通して、親の知らないところでがんばっていた娘の努力も知ることができましたし、挫折にも恵みがあると思います。やるだけのことをやったら、あとは任せるという気持ちで、お子さんのことを応援してあげてください。


  • 受験前に塾からもらった手ぬぐい
    先生や友達、家族もメッセージを寄せています。
  • 横浜共立学園の受験票と合格通知証・合格発表の画面のコピー
    Yさんの受験番号がいちばん上の列に書かれていて、当日は真っ先に目に飛び込んできたそうです。


<取材後記>
あくまでポジティブで、切り替えの早いYさんのお話を伺っていると、これが合格のいちばんの力になったのだと思いました。また、あるときには直感を信じて、正しいと思う決断を実行し、あとは任せるというお母さまの潔さにも感心しました。(教育ジャーナリスト 中曽根陽子)


プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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