筑波大学附属中学校1年生 Mさんのお母さま

■難しい問題は解けるのに、暗記ものが苦手。基本的な計算や漢字でミスをする癖が、最後に足を引っ張った

受験を通して、苦労したことは何ですか?


塾の成績はずっと安定していて、上のクラスから落ちることもなかったので、安心感はあったのですが、うちの娘は社会や漢字など暗記ものが苦手で、その点は最後まで苦労しました。
1日は雙葉中学を受けました。「学校別サピックスオープン」で3位だったこともあり、塾からは太鼓判を押されていましたし、親子で暗黙のうちに雙葉は大丈夫と思っていたのですが、不合格だったのです。塾では娘は男子に交じって難しい問題を中心に解いていたことから、テストで基本問題は取りこぼしても難しい問題で挽回(ばんかい)していたので親子共に気づかなかったのですが、基本的な部分の対策がおろそかになっていたのです。女子校の場合には、計算や漢字など基本的なところをきちんとこなして、落とさないことが大切だったのですね。

今思えば、理科や社会の対策も足りなかったと思います。女子校は生物が中心で、物理(特に電気)や化学の計算問題はあまり出ないのですが、うちはとにかく生物の暗記ものが苦手でしたから。こういうことは、6年生の女の子だけを集めた特訓のときに気づくべきでした。それに対して、筑波大附属は共学校だったので算数、物理・化学の計算問題が得意な娘には合っており、この結果に結びついたのだと思います。


学校選択は、どなたが中心になって、どのように決められたのですか?


土日に娘の勉強を見る私に代わって、主人が学校説明会に行って、学校研究してくれていました。その情報を基に、3人で絞り込んで学校を見に行き、受験校を決めました。しかし、受験校については最後まで迷いがありました。親子共々のんびりしていて、5年生までは「6年生の成績を見ないと決められないね」とか言って、最後になってバタバタと慌ただしく学校を見ることになってしまいました。親が共働きの場合は、特に早くから子どもと一緒に1つでも多くの学校に足を運ぶべきだと思います。また、同じ学校でも4年生、5年生、6年生で本人が全く違う感想をもつこともありますので要注意です。それから、うちの場合、学校を娘と一緒に見に行っては親が先に感想を言ってしまったので娘に先入観を与えていたのでは、というのも反省点です。また、先ほども話しましたが、女子校と共学校では試験問題の傾向が異なるので、子どもの性格を見ながら受ける学校に合わせて対策を変える必要があります。


併願校は、どのように組まれたのですか?


結果的に4日目以降は受けなかったのですが、

1月14日浦和明の星
21日  国府台女子
2月 1日雙葉
2日晃華
3日筑波大附属
4日鴎友
5日渋谷教育学園渋谷

という具合です。
1月は、女子御三家受験の子が多く受ける浦和明の星を中心に考えました。2月まで間が空きすぎている一方、受験校の数が増えると2月校向けの勉強時間が減ったり、風邪をうつされるのではないかと思って、21日の国府台女子1校だけを入れました。この頃は女子校と共学校の違いなど考えていなかったので女子校2校にしてしまいましたが、女子校と共学校を受けさせておいてもよかったと思います。また、1月校は不合格だった場合にショックを引きずらないこと、合格だった場合に気が抜けてしまわないことも考えておく必要があります。

結果論ですが、浦和明の星の不合格から立ち直るだけの期間があったことは幸いしました。でも、うちの娘はエンジンがかかるのが遅いようでしたので、1月にもっと受験させたほうがよかったかもしれません。この辺は子どもの性格によりますね。

2月は、1日の雙葉と3日の筑波大附属が第一志望校だったので、2日に確実に合格をいただけそうな学校を選びました。晃華は受験を明確に意識し始めた4年生から「この学校に入れるくらいの学力があるといいね」と親子共々気に入っていた学校です。また、2月は当日発表か翌日発表かも大きなポイントだと思います。そこで実際には、1月校から始まって、2月1日から6日までの間で、それぞれの合否別にもっと細かくいろいろなパターンの併願を考えていました。
例えば2月は、3日まで全部合格の場合、1日が不合格で2日は合格だったケース、2日も不合格だったケースなど、全部で14通り。細かい出願から手続きまでを含めたシミュレーション表を主人が作っていました。出願、受験、発表、合格手続きの日程が重なってくるので、主人と私で細かい役割分担も決めていました。事前に仕事の調整もしなくてはならないので、この一覧表はとても重宝しました。


■1月校で、まさかの不合格。親子共に、これまででいちばんの落ち込みを経験。こんなに大変だとは思わなかった

受験を通して、いちばん大変だったことは何ですか?


私は、土日のお弁当作りでしょうか(笑)。仕事をしていると、土日くらいゆっくり寝ていたかったのですが、塾があるのでそういうわけにもいかなかったので。
それは半分冗談ですが、絶対大丈夫だと思っていた浦和明の星がだめだった1月は、空元気の娘を見ている私もつらかったですね。
それまで、スランプというのはあまりなかったので、この結果は信じられませんでした。娘は試験終了後「算数は満点だと思う」と帰ってきましたし…。
でも娘は最初、不合格を全然気にしていないふうで、へらへらしていました。幸い浦和明の星は問題用紙を持ち帰れるので、問題用紙にメモしてあった計算式を本人に確認させたところ、自分の書いた0を6と見まちがうなどのイージーミスを3連発していることに気づきました。娘はよほど悔しかったのか大粒の涙をポタポタ…その日は2時間泣きっ放しでした。そのとき初めて娘が親の前では精一杯我慢していたことに気づき、それに気づけなかった自分が情けなくなりました。6年生は親が思っている以上に、もう子どもではないのかもしれません。それからなかなか立ち直れなくて、例えば、今まで問題なくできていたことができない、母親のそばを離れず付いて回るといった状況に陥ってしまいました。それから2月までの2週間は、とにかく娘を笑わせる努力をしました。また、仕事もセーブして、娘が家にいるときには、なるべく一緒にいられるようにしました。一緒にいてやることぐらいしかできませんでしたから。
その頃は、娘のメンタルケアは私が、私のメンタルケアは主人がという感じでした。


とにかく自信の回復に努めたその後の経過を教えてください。


国府台女子については、浦和明の星の不合格を見てから娘はかたくなに「受けない」と言っていました。しかし、試験前日にもう一度確認すると、「ここは絶対受かる?」と問われました。そこで初めて「この子はそれほどまでに自信をなくしてしまったのか」と思いました。そういった状況でしたから、国府台女子の合格発表で自分の番号を見つけたときの娘は本当にうれしそうでした。
振り返ると、1月は本当につらかったです。
こうして2月に突入しましたが、1日に受けた雙葉が不合格という結果に。その晩、塾の先生からお電話をいただいたのですが、娘は「大丈夫だから電話には出ない」と。浦和明の星のことがあったせいか立ち直りは早かったです。2日から3日にかけては本当に集中していました。2日に受けた晃華から当日発表で合格をいただいて、ほっとして翌日、筑波大附属を受験して合格。現在はここに通っています。
親子で雙葉でも筑波大附属でもどちらでもよいと思っていたのですが、今の娘を見ていると男の子と遊んだりするのが楽しいらしく、結果的に本人にいちばん合っている学校に合格できたのでよかったです。不思議なことですが、うちの娘を見ても周りのお子さんを見ても、通っている学校がその子にとっていちばんいい学校のように思えます。


プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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