いま高校は…… 第4回[入試問題の変化 - 学校独自問題で応用力・思考力が問われる]

高校を巡る最近の話題について、第4回です。



「共通問題」でない「学校独自問題」の入試も

保護者の方々のころは、どの公立高校を受けても入試問題はその県の「共通問題」だったと思います。
しかし、第1回で紹介した大阪府で今年度スタートした文理学科の入試では、国語・小論文は文理学科としての共通問題、数学・英語は発展問題を中心とした出題で、数学はかつての理数科、英語は英語科や国際教養科などと同様の出題でした。

東京都では、もっと徹底していて、2001年度から国語・数学・英語についてはそれぞれの学校が作る「自校作成問題」で行う入試がスタートしています。その後学校数がだんだん増え、2011年度入試では15校もが「自校作成問題」で入試を行いました。

2011年度「自校作成問題」実施校
・進学指導重点校 7校 
 日比谷、戸山、西、八王子東、青山、立川、国立
・進学重視型単位制 3校
 墨田川、国分寺、新宿
・併設型中高一貫校 5校
 白鴎、両国、武蔵、富士、大泉


神奈川県でも、2005年度入試から「独自問題」の導入が始まり、2011年度入試では11校が実施しました。神奈川では、横浜国際のように英語だけ、鎌倉のように数学と英語だけ「独自問題」という学校もあります。

2011年度「独自問題」実施校
横浜翠嵐、光陵、横浜国際、柏陽、多摩、横須賀、鎌倉、湘南、平塚江南、小田原、横浜市立横浜サイエンスフロンティア


千葉県は、2011年度から公立高校の入試制度が大きく変わりましたが、前期選抜で1日目の共通学力検査のほかに、2日目に「学校独自問題」で選抜を行った学校が4校ありました。

2011年度「学校独自問題」実施校
千葉東、市立稲毛、君津、実籾


このほか、7県ほど(群馬、三重、奈良、岡山、広島、熊本、沖縄)で独自問題で入試を行っている学校があります。

公立高校の上位校の入試は、ほぼ満点を取らなければ合格が難しいというイメージがありますが、学校が独自に作成する問題では20点、30点でも合格しているケースがあります。つまり、それほど共通問題とは難易度が違うのです。
長い間、公立高校の受験対策は「基礎・基本」といわれてきましたが、より高い応用力・思考力を求められる学校が出てきたということです。
お子さまが、基本問題はよくできるが応用力がない、その逆で応用問題は案外得意だがやさしい問題で取りこぼしが多い……といった学力特性が顕著なら、それによって、共通問題の学校が向いている、独自問題の学校のほうが可能性がある、というようなことを考える必要が、近年の入試では出てきているのです。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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