受験生への接し方 その1[中学受験]

入試が目前に迫っているなかで、まだ志望校に手が届かない受験生に対する接し方は難しい。親子ともストレスであろうが、親は子どもの性格と状況を考慮して冷静に接してほしい。
子どもによって個人差はあるが、小学6年生のころ、男の子は比較的精神年齢が低く、自覚に乏しく、自発的に勉強することを期待できないタイプが多い。(女の子にもそのタイプはいると思うので一概には言えないが)性格面の特徴としては、本人に受験に対する自覚が少ない、割と素直に親の言うことは聞く、のんびりしている、考え方が幼い、といった傾向がある。好ましくない学習面の特徴としては、やるにはやるが言われてやる、ダラダラしている、真剣さが感じられない、といった傾向がある。
このタイプは、自覚は少ないが、その分、親の言うことは良く聞くのでコントロールはしやすい。口うるさく言わなければならないかもしれないが、ちゃんと管理すれば成果は期待できる。一言で言えば「幼い」ので、放置しておくと遊んでしまうが、「中学受験は親子で行う受験」の典型で対策が取りやすく、素直な子が多いので学力を伸ばしやすい。ほめるとがんばるタイプなので、このタイプは、声がけで元気にさせることができる。何があっても、怒らず、ほめてやる気にさせるのが肝心だ。また、得点力を伸ばすためには、過去問演習をゲーム感覚で行わせるとよい。

逆に、そのころの女の子は、オマセさんが多い。精神年齢は高く、自我に目覚めている部分があるので親の管理を嫌い、素直ではないので対処が難しい。性格面の特徴としては、受験に対する自覚はある、親には反抗的、精神的に不安定、自分の考えは明確、といった傾向がある。好ましくない学習面の特徴としては、真面目にはやるが成績が上がらない、ちょっとしたことでモチベーションが下がる、ストレスで学習量が減る、といった傾向がある。また、自分から進んでやっているが、成績が上がらないので焦っている。焦っているのは、自覚があるという証拠だが、イライラしているだけで勉強に手がつかなくなるのでは困る。
このタイプは、親から一方的に学力を伸ばすための指示やアドバイスをしても受け付けない。それよりも学力が伸び悩んで困っていることを聞き出し、協力してあげるほうが効果的だ。本人は受験に対する自覚もあり、ある程度、論理的な話は通用するし、損得もわかるので、過去問演習で得点力を付けさせるとよい。がんばれば第1志望に合格できることを過去問演習で実感させることができれば、モチベーションが高くなるタイプだ。過去問演習を子どもと一緒に行いながら励ますことが、効果的な声がけとなる。

結論としては、子どもがどのようなタイプなのかを見定め、志望校に合格するためにはどうすべきか、という観点で子どもに接してほしい。また「過去問演習の解説」は、前回を見てほしい。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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