創造を含む考えなどが苦手です[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小3男子のお母様質問
背景を読み取り、その後どうなるかなど創造を含む考えなどが苦手です。小泉先生のアドバイス
お話の「型」を与える
物語文を最後まで読み、その後の展開を創造する、つまり物語を「創(つく)る力」を育てるにはどうしたら良いかというご質問だと思います。
一般的に物語をたくさん読んでいるお子さまは、お話を創ることも上手なようです。おそらく今まで読んだ話のパターンが記憶にインプットされていて、それらを与えられた設定に沿って自在に組み合わせることで、その後の展開をうまくまとめられるのでしょう。このように考えると、物語を創る力を育てるにも、読書の習慣が非常に効果的であると言えそうです。しかし読書の習慣があまりないお子さんもいらっしゃると思いますので、読書以外の方法を一つご紹介します。実際に私の教室で行ったもので、子どもたちは楽しく物語を創れていたと思います。
「物語を創る」という授業は、小学2年生、3年生のクラスで行いました。楽しくできるように、物語の設定は子どもたちがよく知っているお話を拝借します。たとえば「ある日、ジャックは牛と豆を交換したが、怒った母親に豆を庭に捨てられてしまった。ところが次の朝、その豆は大きな木に成長していた……。」という、有名な『ジャックと豆の木』の冒頭を借ります。有名な冒頭のほうが、子どもたちの多くがお話の展開を知っているので、新たに物語を創る時の参考になるのです。ところがこれだけの条件で、「さあ、新しい物語の続きを考えてごらんなさい」と手を放しても、なかなかうまく創れない場合が多いと思います。もちろん、上手にお話の続きを考える子どもたちもいますが、考えつかないかあるいは面白みのない物語しか書けないケースも少なくありません。たとえば、ジャックのように豆の木に登って行ったらロボットが出てきて、ジャックがそれらをやっつけて終わりのような話です。
ところがここで話の方向性としての「型」を与えると、子どもたちの動きが違ってきます。
与える「型」は、中学校の入試問題にもよく出てくる「成長の物語」にします。すなわち「最初は劣っていた主人公が、何か試練を得ることで、人間的に成長(成功)する」という型です。「成長の物語」の型について話をして、これから作るお話もこの「型」に沿って作るようにと指示するのです。すると、子どもたちの手が動き始めます。しかもでき上がった作品は、面白いものがかなり多いのです。
たとえば、体の弱かったジャックが、雲の上にある道場で体を鍛えて帰ってくる話。また、お母さんの言いつけを守らないジャックが、雲の上の巨人に説教されて、すっかり良い子になる話。あるいは、貧乏だったジャックが、雲の上の国で商売を始めて、大金持ちになる話など、なかなか読んでいても楽しい力作でした。
子どもたちにとって、何もないところから物語を創り上げることは難しいですが、スタート地点(設定)と方向性(型)が与えられると、物語が創りやすくなるのでしょう。
「型」というと何か自由な創造性を奪うように感じますが、経験のない子どもたちには「型」は必要です。もし「成長の物語」の「型」に飽きたら、他の「型」(たとえば、欲張ったために貧乏になってしまう失敗の物語など)を増やしていけば良いでしょう。最初にお話しした、読書の習慣があり、お話を作るのが上手なお子さまは、こういった「型」をたくさん持っているのです。そして本当に自由に「型」が使いこなせるようになると、いままでにないような「型」の物語を創れるようになるのだと思います。さらに物語を創るのが上手になったら、読む人に何かを訴えるような物語を創れるようになると良いでしょう。上の例で言えば、「勇気のすばらしさ」とか「努力の大切さ」でしょうか。
物語を創るのが苦手なお子さまには、ぜひ「型」という方向性を与えてみてください。またこのような練習は、物語文を読んでいる途中で、あとの展開を想像するのにもきっと役に立つと思います。
物語文を最後まで読み、その後の展開を創造する、つまり物語を「創(つく)る力」を育てるにはどうしたら良いかというご質問だと思います。
一般的に物語をたくさん読んでいるお子さまは、お話を創ることも上手なようです。おそらく今まで読んだ話のパターンが記憶にインプットされていて、それらを与えられた設定に沿って自在に組み合わせることで、その後の展開をうまくまとめられるのでしょう。このように考えると、物語を創る力を育てるにも、読書の習慣が非常に効果的であると言えそうです。しかし読書の習慣があまりないお子さんもいらっしゃると思いますので、読書以外の方法を一つご紹介します。実際に私の教室で行ったもので、子どもたちは楽しく物語を創れていたと思います。
「物語を創る」という授業は、小学2年生、3年生のクラスで行いました。楽しくできるように、物語の設定は子どもたちがよく知っているお話を拝借します。たとえば「ある日、ジャックは牛と豆を交換したが、怒った母親に豆を庭に捨てられてしまった。ところが次の朝、その豆は大きな木に成長していた……。」という、有名な『ジャックと豆の木』の冒頭を借ります。有名な冒頭のほうが、子どもたちの多くがお話の展開を知っているので、新たに物語を創る時の参考になるのです。ところがこれだけの条件で、「さあ、新しい物語の続きを考えてごらんなさい」と手を放しても、なかなかうまく創れない場合が多いと思います。もちろん、上手にお話の続きを考える子どもたちもいますが、考えつかないかあるいは面白みのない物語しか書けないケースも少なくありません。たとえば、ジャックのように豆の木に登って行ったらロボットが出てきて、ジャックがそれらをやっつけて終わりのような話です。
ところがここで話の方向性としての「型」を与えると、子どもたちの動きが違ってきます。
与える「型」は、中学校の入試問題にもよく出てくる「成長の物語」にします。すなわち「最初は劣っていた主人公が、何か試練を得ることで、人間的に成長(成功)する」という型です。「成長の物語」の型について話をして、これから作るお話もこの「型」に沿って作るようにと指示するのです。すると、子どもたちの手が動き始めます。しかもでき上がった作品は、面白いものがかなり多いのです。
たとえば、体の弱かったジャックが、雲の上にある道場で体を鍛えて帰ってくる話。また、お母さんの言いつけを守らないジャックが、雲の上の巨人に説教されて、すっかり良い子になる話。あるいは、貧乏だったジャックが、雲の上の国で商売を始めて、大金持ちになる話など、なかなか読んでいても楽しい力作でした。
子どもたちにとって、何もないところから物語を創り上げることは難しいですが、スタート地点(設定)と方向性(型)が与えられると、物語が創りやすくなるのでしょう。
「型」というと何か自由な創造性を奪うように感じますが、経験のない子どもたちには「型」は必要です。もし「成長の物語」の「型」に飽きたら、他の「型」(たとえば、欲張ったために貧乏になってしまう失敗の物語など)を増やしていけば良いでしょう。最初にお話しした、読書の習慣があり、お話を作るのが上手なお子さまは、こういった「型」をたくさん持っているのです。そして本当に自由に「型」が使いこなせるようになると、いままでにないような「型」の物語を創れるようになるのだと思います。さらに物語を創るのが上手になったら、読む人に何かを訴えるような物語を創れるようになると良いでしょう。上の例で言えば、「勇気のすばらしさ」とか「努力の大切さ」でしょうか。
物語を創るのが苦手なお子さまには、ぜひ「型」という方向性を与えてみてください。またこのような練習は、物語文を読んでいる途中で、あとの展開を想像するのにもきっと役に立つと思います。