ふだんのテストはできるのに、実力テストで点が取れないのはなぜ?[教えて!親野先生]

今週の相談

 

小学5年生の息子は、学校の単元ごとのテストでは、ほとんど90点から100点なのですが、習ってから時間が経った内容のテスト(実力テストのような物)では70点ぐらいのことがありびっくりしてしまいます。特に算数です。先日は「標準学力検査(NRT)」の結果が来て、担任の先生から「普段の様子から想像して、もっとできていると思っていたので、驚きました」と言われてしまいました。チャレンジ5年生の「漢字計算くりかえしドリル」をやっていますが、算数の間違いが目立ちます。やり直しをすれば、思い出すようですが、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか?(まあむさん)

 

【親野先生のアドバイス】

まあむさん、拝読いたしました。

単元ごとのテストではそこそこの点数を取れるのに、実力テストになると点数が伸びないというわけですね。これも、また、とてもよく聞かれる悩みの一つです。特に、小学校高学年、中学校、高校と進んでいくにつれ、これで悩む人は増えていくのです。

もともと、ほとんどの子にとって、範囲が決まっている単元ごとのテストの方が良い点数が取れるという事実はあります。でも、程度の差があるのも、また事実です。つまり、実力テストになると他の子以上に点数が下がるという子もいるのです。ご相談のケースはこれに当たります。

では、なぜそうなるのでしょうか?
私は次の二つの理由だと思います。
1.本当の理解になっていないから長期記憶にならない
2.本当の理解になっていないから応用が利かない

1について考えてみます。
たとえば、小学3年生の1学期の理科に昆虫の単元があります。そこで、大切なポイントとして、チョウのように完全変態するものとバッタのように不完全変態するものがあるということを勉強します。チョウもバッタも実際に飼ったことがなくても、その勉強でそれを覚えた子は単元テストで難なく正解できます。
でも、もし、半年後の3学期に突然の実力テストでこの問題が出たとしたら、答えられないでしょう。
実際にチョウやバッタを飼ったことがあって、完全変態や不完全変態について本当によくわかっている子は、そのときも難なく正解できます。たとえ半年後どころか3年後にテストがあったとしても、正解できます。

2について考えてみます。
たとえば、割り算の単元テストで出される文章問題は、解き方も割り算に決まっています。ですから、その単元をこつこつ勉強して「割り算の解き方のパターンに慣れている」子は、単元テストで難なく正解できます。でも、実力テストの文章問題では、割り算か掛け算か足し算か引き算かわかりません。
そこで問われるのは、「割り算の解き方のパターンに慣れている」かどうかではありません。そこで問われるのは、「何算で立式すればいいかをわかるかどうか」ということです。そのためには、割り算とは何か、掛け算とは何かということが本当にわかっていることが必要です。

では、実際には、どうしていけばいいのでしょうか?
1について、私は、生活や遊びのなかで「知的に鍛える楽勉」を強くおすすめします。カステラやピザを切るとき分数に触れたり、毎日の生活のなかで温度計や湿度計を見たり、実際に昆虫を飼育したり、旅行中に自分がいるところを地図帳で探したり、歴史博物館で本物の火炎土器を見たりすることが大切なのです。生活そのもの、人生そのものが「知的に鍛える場」になっていることが大事なのです。
これは、一見遠回りに見えます。机に向かって教科書や問題集で勉強したほうが、早そうに見えます。でも、本当はそうではないのです。もちろん、教科書や問題集で勉強するのは大切です。でも、それだけでは不十分なのです。こつこつまじめにやっているのに実力テストが伸びないという場合は、ぜひこの楽勉にもこころがけてみてください。

次は、2についてです。
まず、一つの例として割り算の文章問題について考えてみます。割り算の文章問題を勉強するときに、同時に掛け算や足し算や引き算の文章問題もごちゃ混ぜにして練習するのが一番です。そうすれば、割り算の解き方のパターンに慣れるだけの勉強ではすまなくなります。そして、割り算とは何かということへの理解が自然に深まります。なぜなら、「これは割り算か掛け算か足し算か引き算か?」と考えること自体が、割り算とは何かということへの理解を深めてくれるからです。ですから、割り算の文章問題を勉強をするときに、ごちゃ混ぜの問題を親が用意してやるといいと思います。
私は、教科書や問題集や単元テストのなかに、そのようなごちゃ混ぜの問題がなければ意味がないのにと前から思っていました。

文章問題ではなくて、筆算の練習についても同じことが言えます。もちろん、最初は割り算の筆算だけを繰り返しやることが大事です。でも、ある程度身に付いたら筆算もごちゃ混ぜにしてやらせるといいと思います。つまり、1問目が割り算、2問目が引き算、3問目が掛け算、4問目が引き算……というようにするのです。

こうすれば、機械的に繰り返すことができませんので、脳にとっては大きな抵抗になります。「これはどうするのだったかな?」と、一度止まって考え直す必要があります。その度に復習し直すことになり、記憶という点で大きな効果があるのです。ただ機械的にやっているだけより、よほど効果があるのです。
ですから、私は、計算ドリルもこのような部分があったほうがいいと思います。でも、今そういうものは見あたらないようなので、親が作ってやるといいと思います。文章問題にしろドリルにしろ、このようにしていれば、いつも実力テストの準備をしているようなものです。実力がつくこと間違いなしです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。まあむさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

おすすめトピックス

子育て・教育Q&A