学校訪問を行う意義 その3[中学受験]

志望校を選定する場合、保護者が陥りがちなことがある。それは、学校の教育方針は?校風は?と学校のほうにばかり目が向きがちなことである。「我が子に合った学校」を志望校にしたいのであれば、学校だけではなく、もっと我が子に、あるいは我が身(保護者)自身の考え方に目を向けるべきではないだろうか。
つまり、志望校を検討する前に、「我が子をどれだけ理解できているか?」を確認する必要がある。

我が子の性格・資質・生き方がよく理解できなければ、いくら学校情報を集めても、我が子に合う学校を見付けることはかえって難しい。志望校に入学後、我が子を受け入れてくれる友達や先生方がたくさんいるのか? 我が子の資質を伸ばし、善く導いてくれる学校なのか? 我が子に豊かな学校生活を送らせたいと願うのであれば、「我が子に合った学校」の要素は何か? それは、どのように我が子に影響を与えるか? といったことを洗い出してみて確認しておくべきである。それなくして学校訪問をしても「見極めるポイントがわからない」ということになってしまう。

しかし実は我が子の性格・資質・生き方や考え方を十分把握できなくとも、子どもと一緒に学校訪問することで、学校が我が子に合うかどうかを確認できることもある。子どもは、積極的に志望校の調査に参加すべきで、ただ、保護者についていくだけでは意味がない。自分自身も参加して決定した志望校ならば子どもは受験に対してモチベーションを高く保つことが可能となるので、志望校の検討段階から子どもに参加させるべきなのだ。
子どもが理解しやすい「文化祭」「体育祭」「オープンスクール」には、従って積極的に子どもを連れて行くべきだ。

そして、学校訪問では、子どもに「学校の生徒・先生方・学校全体」を見せて、「自分に合うかどうか」を判断させる。感性が優れたお子さまならば、子どもが感じることのほうが当たっていることも多く、むしろ保護者にとって考え直すことになることもある。
しかし、子どもが感じることができるのは、志望校に入学後、円滑に学校生活が送れるかどうかということで、自分の将来までも考えて、志望校が学力や資質を伸ばしてくれるかどうかということまではわからない。その部分については保護者が事前に調査すべきである。学校訪問は、お子さまと保護者自身を見つめ直す良い機会である。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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