学習におけるタイプ別注意点[中学受験合格言コラム]

理系・文系というと大学に進学する時に使われる分類方法であり、ひいては職業的な分類にもかかわってくるが、学習においても「理系タイプ」と「文系タイプ」に分けると便利な場合がある。
「理系タイプ」とは算数(数学)ができて理科が得意な場合が多く、物事を「理論的に考える」タイプとしておこう。逆に「文系タイプ」とは、国語が得意で特に物語文の心情表現を理解するのがうまく、社会も好きな子が多いというところか。
さらにもう一つ大切な特徴を加えておくと、理系タイプは「大ざっぱ」であり、文系タイプは「神経質」であるという点だ。これらの特徴は学習や受験に密接な関係をもち、それによって勉強がうまく進んだり、あるいはその逆になったりするので要注意である。
私は森上教育研究所で月1回、「学習個別相談会」を実施しているが、この理系/文系タイプを考えて相談内容にお答えする場合もある。もちろん国語や社会が得意でも「大ざっぱ」な生徒はいるから、あくまでもそのような傾向が多いということでここでは考えていきたい。

さて理系タイプの「大ざっぱ」というのは、悪く言えば「いい加減」とか「適当」であり、良く言えば「全体を見渡せる」とか「本質を見抜く力がある」と言えるであろう。「木を見て森を見ず」ではないが、細かいところのみに気を使っていると大局を見失うことがあるので、理系タイプの「大ざっぱ」は学習面でも大切な特質と言える。
たとえば算数では、答えを得るために「方針」を考えたり、「見当」を付けたりすることは非常に大切である。もちろん細かく考えるのが苦手であれば、たとえば国語の設問を解く時の精密な思考などは得意ではないであろうから、理系タイプのほうが受験に有利とは言い切れない。

それでは神経質な文系タイプは何が問題なのか? 算数の考え方で戸惑うことはあるかもしれないが、それでも繰り返し演習することで乗り越えることは可能である。
現に多くの受験生がそうして難関を突破しているのであるから、問題はもっと違うところにあるように思える。それはものごとを詳細に見て、「完全にやろう」とか、「完ぺきに仕上げよう」とする点ではないかと考える。この文系タイプの「癖」は受験にとって注意すべきものであり、これが原因で成績がなかなか上がらないことがある。

たとえば試験で問題を完全に解こうとして上から順番に解いていくが、途中で難問にぶつかる。完ぺきに仕上げようとするから下のほうにある簡単な問題に手が付かずに終わる。俗に言う「ステ問」に引っ掛かって、試験で得点を上げられない生徒である。要領の良い受験生であれば、「ステ問」をスルスルと避けて、同じ程度の学力なのにはるかに良い点数をとることになる。
またご両親(特に母親)が文系タイプの「完ぺき主義」の場合、指導された受験生がかなり損をする場合もある。今月は文系タイプの「完ぺき主義」が、受験に弊害になる場合を考えて行きたい。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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