漢字や語彙など知識系の学習を退屈に感じ、苦手なようです[中学受験合格言コラム]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。

※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


【質問】

漢字や語彙(ごい)など、知識系の学習を退屈に感じ、苦手なようです。辞書で調べることも面倒くさがります。今は言われるままにいやいややっていますが、単調なのがとても嫌な様子です。漢字は主に漢字検定の定期テストや大手学習塾のドリルを使用しています。たくさんの漢字や語彙の意味などを覚えさせるのに何かよい方法はないでしょうか?

相談者:小3女子(大ざっぱ・感情的なタイプ)のお母さま



【小泉先生のアドバイス】


短期目標の達成の積み重ねが、努力をいとわない能力を育てる


●反復学習が苦手なタイプは?
単調な作業が苦手な人がいる半面、それほど苦にならない人もいます。苦手な人は性格的に大ざっぱな人が多く、何かやろうと計画しても途中で断念してしまう傾向があります。性格的にのん気なためか、何かあってもどうにかなると楽観的に考える皆さんが多いようです。

一方、コツコツとがんばれる人は神経質なタイプに多いようです。心配性のため、できるだけ準備して物事に備えようという気持ちが強いのでしょう。まじめに勉強する人が多く、「勉強しなさい」と小言をあまり言う必要はないようです。ただし、やるべきことが多すぎるとか、時間が足りないとか判断すると、あきらめてやめてしまうことがあるので要注意です。

●勉強は反復が必要
さて、受験勉強ですが、多くの場合はこの単調な繰り返し学習の連続です。社会、理科で基礎的な知識を暗記するとか、国語の文法や語彙などの知識も繰り返し暗記する必要があります。確かにつまらない作業かもしれませんが、基礎力を付けるためにはどうしても反復練習が必要になります。

また、単調な演習は算数でも必要です。なぜなら、初めて勉強する単元で、初めて見た問題をスラスラ解けることはまずないからです。やはり、解けなくて、解答解説を読んで理解して、さらに数日たってからもう1回解いて、という作業をとおしてやっと解けるようになるのです。発想やヒラメキが必要な応用問題でも同じで、こうした問題が解けるのは、どこかで解いた経験があるからです。初見で難しい問題を、しかも制限時間がある試験で解くことはまず無理といってよいでしょう。

このように、受験勉強にはコツコツ勉強する力が必要です。そして、こうした能力は、勉強だけでなく、スポーツや音楽などあらゆる分野・仕事において必要な力なのです。努力を惜しまぬ精神を育むことなくしては、何かをやり遂げることはなかなか難しいでしょう。

●コツコツ勉強できる能力を身に付けるには?
それでは、どうしたらコツコツ勉強する力を身に付けられるでしょうか。一つの方法としては、明確な目標を持たせることです。この場合の目標は、「短期」「面白い」「目に見える」であることが大切です。

たとえば中学受験における目標とは、当然、志望校合格でしょう。でも、お子さまのような小学3年生の皆さんには、受験とは相当将来のことと思えることでしょう。小学3年生と言えば、8歳か9歳でしょうから、3年後は今まで生きてきた人生の3分の1という遠くて長い将来なのです。そんな遠い将来の目標ではなく、もっと短い目標、たとえば2週間後の漢字のテストで100点をとるとか、漢字の検定試験で7級をとるとかを当面の目標に設定するのがよいでしょう。努力するのはなるべく短い期間のほうが続きます。そしてそうした目標を次々に設けていくことで、結果として1年、2年と努力を続けていけるのです。

次に、「面白さ」とはどんなものでしょうか。人によって違うと思いますが、それは他の人との「競争」であったり(勝つ必要はあります)、あるいは「100点をとれた」という達成感であったりするかもしれません。たとえば、漢字の問題集を与えられて毎日暗記を強いられる。他の人と進度や点数を競うこともなければ、あるいは達成することで称賛されることもない。そのような勉強であれば、嫌になるのもしかたないかもしれません。逆に、他の人と競争して点数を争うようなテストであれば、少しは面白みが増してくることでしょう。その意味では、塾の漢字テスト、外部の模擬試験、漢字検定など、結果が数字で表れるものを目標にするのがよいかもしれません。

●短期目標で達成感を得る
最後に「目に見える」ですが、そうした結果が実際に目に見えることも必要です。できれば、日常的に見えるとさらに励みになります。たとえば、点数や順位が塾で貼り出され、熟語のテストの進度表で他の人より進んでいることをひそかに誇りに思ったりするようなことです。こうした刺激はやる気を引き出します。熟語を勉強する目的が、受験のために覚えるというより、他の人より進んでいたいという目的にすり替わるのです。こうした塾の手法を、なんらかの形で、ご家庭で実施されるのもよいでしょう。

こうした演出は塾の常とう手段であり、勉強のつらさを少しでも少なくするために行います。生徒を「怒ったり」「励ましたり」「笑わせたり」「競わせたり」するのが塾の一つの重要な役割なのだと思います。単にわかりやすい授業だけでは、コツコツ勉強はなかなか続かないものなのです。

さて、そうした学習手法ですが、何か本来の勉強から外れているようにも感じます。勉強とは、もっと「能動的で」「自主的で」「崇高な目標に向かう」ようなものだったはずです。確かに、馬にニンジンを与えて走らせるような勉強は邪道のようにも思えます。でも、最初はそれでよいのでしょう。なぜなら、短期間の目標を持たせ、モチベーションが続くような環境で、なんとか目標を達成させる。そしてまた短期の目標を持たせる。こうした繰り返しが、長期の目標に通じるからです。また、短期の目標を成し遂げたという達成感や満足感が、「努力は裏切らない」という気持ちを自信とともに子どもたちにもたらし、さらには「努力する力」を培っていくからです。


プロフィール

小泉浩明

小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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