子どもの自立 中高時代の過ごさせ方(1)[中学受験]

大学時代の同窓の出世頭が、「わが娘は大変心優しく家族の者に思いをよせ、申し分のない子だけれども、どういうわけか会社―といっても日本の会社―に合わなくて、一度就職をしたのだけれども現在は辞めている」と言う。

別の知人のほぼ同世代の自由業の父親は、「私立大学の付属中高を出て系列大学に進んだ息子は就職したのだけれども、3年どころか3カ月にしてもう辞めたいと言っている」などと言う。

かと思えば、別の知人の子どもは、外資系への就職に成功したいわゆる就職勝ち組で、生活のブランド化をおしすすめていて、衣食住をある一定以上の価格のもの……つまりブランド物で固めているとか。
その理由を聞くと、自分のなかで「この線以上でありたい」という強い向上心をもっていて、少し上のランクを意識的に選び取っているのだそうだ。

どちらも夫婦円満で健全な家庭なのだが、年収から言えば前二者がアッパーミドル層(中流のなかでも上のほうの生活水準)で、後者はロウアーミドル層(中流のなかでも下のほうの生活水準)である。

子どもの学歴も大学はいずれも難関の上位私大卒だが、中高を見れば前二者が私立、後者は公立である。

折りしも米国企業オーナーとして成功している米国在住の元商社マンに知遇を得て、体験的に日米学生気質の違いについて見解を聞いた。

その元商社マンによれば米国の学生と日本の学生は自立の度合がまったく違うそうだ。前述の子どもたちの様子を話すまでもなく、日本人学生の幼さは「いつまでも親が仕送りしているからだ」とニベもなかった。
要は親がかりのひ弱さがある、と言う。

別の元上場企業役員の経験でも、米国大学院修士号の日本人新卒を採用したところ入社するなり労組対策の提案や、新商品開発のための会社資産の見直しなど、まさに即戦力を発揮し、その頼もしさに舌を巻いた由。 
確かに前述の身近な事例を見ても、手をかけすぎても自立が難しそうである。
しかし冒頭の事例は、中高は米国の全寮制学校に入っていたので自立のほうも実は申し分ない。
きっと自分の在り方と会社(日本)の折り合いが悪いのだろう。
自立と言っても在りようはさまざまでよい。欧米の社会はむしろその多様性を尊ぶが、我が国の伝統的な集団は嫌うところがある。

こうして見てくると、中高時代をどう過ごさせるか、というあたりが社会人としての行く末に大きな影響を与えていることがわかる。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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