子どもの自立 中高時代の過ごさせ方(2)[中学受験]

老いてなお制作意欲のさかんな新藤兼人映画監督が、「夫婦は人格と人格の相互信頼だ」と最近雑誌に書いておられた。

実は子どもの自立のモデルとなるのは親であって、何といっても身近で見る夫婦の在りようが子どもにとっての自立のお手本となるのだ。
だから良いお手本になることもあれば、反面教師になることもあるわけである。

さて、最近、子ども留学コースを設けている学校に行かせたり、自主留学させたりといったケースを見かけることが増えた。

筆者が思うに、その際は、英国や米国などの中流家庭(それもアッパーミドル層)にホームステイさせると、とても良い体験になる。

即ちそこでは、親しき仲にも礼儀ありで、マナーが相当しつけられる一方、愛情あふれるもてなしを受ける。
きっと多くの留学生たちは、まさに相手の人格を敬意・尊敬の念をもって接するすばらしさを体験することであろう。

しかし同時にこういった家庭では、しばしば、夫婦間で相当の言葉を費やして意思疎通をはかる光景に出くわすことだろう。
いかに夫婦といっても、いや夫婦だからこそ徹底的に話し合うので、そのような光景に不慣れな日本の子どもは、「ホストファザーとホストマザーはいつも夫婦ゲンカしている」と受け取るかもしれない。

つまり人格と人格の相互信頼といっても、そう簡単ではないということを、身をもって納得させられるのだ。

このことからも、自立を促すには「かわいい子には旅をさせよ」という経験則が、今も生きていて、中学生、高校生時代に、そうした体験をすることで、人格と人格の相互信頼について考える機会が与えられるというものだ。

夫婦の人格と人格が相互信頼していると言い切れる家庭が果たしてどれほどあるかはわからないが、家庭の文化が子どもの人格を促すようにできているか、という点は大事であって、そのあたりの夫婦の目線が、言わず語らずのうちに子どもに影響していくことになるのではないだろうか。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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