女の子の前に立ちはだかる何か[中学受験]

男の子と同じように、女の子も難関大学の付属校に進学するとどうしても、高校の上級学年になったときに易きに流れる傾向がある。
さすがに男の子と違って、中学や高校で徹マン(徹夜麻雀)に明け暮れる、などということはないけれども、モラトリアム(猶予期間)を与えられているわが国の難関大付属生ほど優雅な身分もないだろう。
今春は法政大学、来春は明治大学の付属中学校が共学に踏み出すけれど、銘柄付属校がどのように緩みをきたさないようにするか、工夫が求められている。

しかし、難関大学付属が身分や進学を保証してくれるというのは、今はもう昔の話で、現在はそのような甘い状況ではない。

「謙虚さ……男の子を伸ばすコツ」の回で紹介した福岡の明治学園というカトリック校のある年の難関大学医学部合格者は、全員、小・中・高の一貫校生だったということからも、まさに一貫教育が優れているということがうかがえる。

知人のジャーナリストが東京大学合格発表会場でインタビューしたかわいいお嬢様は、白百合学園の小・中・高一貫校の出身だったそうで、東大女子学生のイメージがすっかり変わったという。
もはや女子の小・中・高一貫校は、お嬢様路線だけでない、進学校に変貌しつつあるということだろう。

ただ、一般的に進学校の場合、女の子は教師への忠誠心競争をするために、たとえば中間・期末テストのバラツキは極めて狭く、平均点が高止まりする傾向がある。

また、女の子の場合は、仲間はずしのようないじめにより、常に取り残されるリスクも潜在している。
男の子と違って、事実上の帰宅部(どのクラブにも入らない生徒)も少なくないため、そのどこにも所属していないという心理的状況が、マイナス効果を生じやすいこともまた事実なのである。

佼成学園女子の留学コースは、近頃とみに進学実績をあげているが、その中核には孤独な留学体験を共有したことによる連帯感がある。相互の励まし合いがワンランク上の進学実績を出せるのだ。
学校側も、何でも腹を割って話し合える人間関係づくりを事前事後に仕掛けているというが……。ここに指導者のコーチングがある。ベテランの指導者に聞くと、最も肝心なのは、一人ひとりの個別コーチにある由。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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