本人の「本気」を引き出すには?[中学受験]

6年生の4月ともなると、塾の授業や課題も増えて急激に忙しくなってくる。いよいよ本格的な受験勉強がスタートしたのだが、本人の「本気度」がもう一つ足りない時期でもあろう。中学受験は受験生がまだ小学生ということもあり、どうしても本人の自覚が足りない。少なくともご両親から見ると「なんか他人事みたい」と思えることがあると思う。特に精神的にまだ幼い受験生だと、どうしても「誰の受験なの?」と言いたくなる。

そんな受験生であったとしても、徐々に本気度を増してくる。おそらくほとんどすべての受験生は今年の10月ごろには、「本当の本気」になっているだろう。「おいおい、そんな試験の間際にならなければ真剣にならないのか?」と思われるかもしれないが、現実はそんなものである。これは余談になるが、来年2月になって試験がすべて終了し、ほっと一息ついたら、お子さまにぜひ聞いてみるとよい。「いつごろから真剣に勉強に取り組めた?」と。ニヤッとしながら、「11月くらいから」なんていう答えが返ってくるかもしれない。

ここで受験生諸君の名誉のために付け加えておくが、正確に言うと、4月の今の時点でも彼らは「ある程度は真剣」である。つまり、彼らは真剣に勉強しているつもりなのである。しかしだんだん試験が近づき、「これもやらなければ、あれもやらなければ」とか、「もっと時間が欲しい」という状態になったとき、初めて「真剣に勉強する」状態になり同時にその意味もわかるのである。彼らにとっては試練であるが、精神的に成長する時期でもある。そしてそうした経験が、「4月のころの学習や一生懸命やったつもりの夏期講習も、今から考えてみたら甘かったなあ」と彼らに言わせるのであろう。もちろん生徒によってはもっと早く真剣になることもある。そして真剣になる時期が早ければ早いほど、志望校合格の可能性は当然上がる。ご両親としては、なんとしてもお子さまを早く「本当に真剣にする」必要がある。

受験生を真剣にする方法の一つとしては、模擬試験の活用がある。ここで言う模擬試験とは、いわゆる公開模試のことであり、既に何回か受けている受験生もいるかとは思うが、単に受けるだけではなく「活用する」ことが重要だ。今月はそんな模擬試験の活用方法について述べて行きたい。模擬試験に対するちょっとした取り組み方の違いで、受験生のやる気がずいぶん違ってくる。なお、公開模試をまだ受けたことのないかたも、ぜひこの機会に受けておいたほうがよいと思う。公開模試を主催する団体としては、四谷大塚・首都圏中学模試センター・SAPIX(サピックス)・日能研などがある。今年は多くの模試が4月8日(日)に実施されるようだが、申し込みなどの詳しい日程はそれぞれの模試の業者に直接問い合わせていただきたい。四谷大塚を例にとると、次の合不合判定予備テストは7月になってしまう。2学期になるともっと頻繁に行われるが、1学期の間はあまり実施されないので、4月はぜひ受けておきたい。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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