この時期、保護者はどうかかわるか　「うちは本人主体なので……」ではうまくいかない[高校受験］

■本人がなかなか受験生にならないのはよくあること

　高校受験では、「本人に任せています」「うちは本人主体なので」……といったことをおっしゃる保護者のかたが大勢います。が、お子さまの様子はどうでしょう？　自分から積極的に動いているでしょうか？
　私は多数の学校が集まって開く合同相談会に足を運ぶことが多いのですが、そうした場では、次のような光景が普通です。

・各学校のブースで、先生に質問しているのはもっぱら保護者のかた。本人は脇で大人しく話を聞いている。
・こうした合同相談会では、「受験案内」や「過去問」、「参考書」などの売り場が設けられていることがよくありますが、そうした売り場で本を手にとってページを開いているのはもっぱら保護者のかた。本人は他人事のように突っ立っている。
・昼食時に、近場の食堂に入ると、「1学期の成績では、〇〇高校の併願推薦の基準には届いていないわよ。一般受験にするか、それとも△△高校に変更するか、どう思う？」……と、話しかけているのはもっぱら保護者のかた。本人のほうから積極的に意思表示しているケースはまず見かけません。特に、男の子は受験生になっていない--そんな感じです。

　今、保護者のかたは毎日イライラしていることと思いますが、多くの受験生はこんな調子であることをまず承知しておいてください。そうしたうえで、入試当日までの計画表を作る、毎日のスケジュールを決めることを一緒にやる、願書用の写真撮影に出かける……など、環境面から作っていってはどうでしょう。

■中学校の先生も完璧ではない

　保護者のかたが高校受験された時には、中学校に任せ、本人が担任と相談し、その指示どおり動いていればなんとかなったのではないでしょうか。当時の保護者のかたはそれほど我が子の高校受験に関わらなかったと思います。

　高校も、当時は、公立高校の普通科には学区があり、通学できる学校が決められていました。公立高校の普通科を受験する場合には（人数的にこれが最も多かった）、学区内の高校だけを意識していればよかったのです。が、今は学区が撤廃されたり、緩和されたり（学区の数を減らし、より多くの高校を受験できるようにしていること）、また都市圏では交通機関の発達もあって、はるかに広域の多数の高校を視野に入れる必要が出てきました。
これは、中学校の先生にとっても厄介なことになりました。中学校の先生は普通3年に1回は中3を担当しますが、その間に入試制度が変わったり、生徒が広範囲のさまざまな高校を受験するようになったりするものですから、個々の学校について詳しくなろうという意欲が減ってきている先生も多いようです。

　ですから、保護者が関心を持ち、情報を集め、本人のお尻をたたかないとうまくいかないのが近年の高校受験なのです。