【6年生】 入試説明会の活用、志望校最終決定 [中学受験歳時記コラム ~いま取り組むべきこと~ 第56回]
保護者の役割は、子どもの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。このコラムでは、4年生から6年生のお子さまと保護者のかたに、毎月特に取り組んでほしい重点事項を紹介していきます。
前回に続き、今回は6年生を対象に、入試説明会の参加のしかたと第一志望校の最終決定について取り上げます。
今後は、過去問を使って課題を絞り込む
11月に入ると、多くの学校で入試説明会が開かれますので、保護者のかたはできれば足を運んでいただきたいと思います。これまでは、志望校の偏差値をめやすに、大まかな目標点を定めてこられたと思いますが、11月からは、志望校の過去の入試問題(過去問)を使って、やるべきことを絞り込んでいく時期です。入試説明会では、過去の入試問題を使って、各問題の正答率や出題意図について具体的に説明してくれますので、その学校の合格圏が見えやすく、対策がしやすくなります。
入試説明会で何を確認する?
●各問題の正答率
入試説明会では、各問題の正答率表が配られることも多くあります。当然、正答率の高い問題を優先的にできるようにすることが重要です。
また、正答率が7、8割の問題をすべて正解すれば合格できるのか、それとも、正答率の低い難しい問題も解けることが合否の分かれ目になるのかといったことも確認できると、課題が明確になります。
●出題意図・採点基準
各校の出題の傾向は、毎年ほとんど変わりません。「どんな力を見たくてこの問題を出したか」「減点や加点はどのように行っているか」について聞いておくと、模範解答が書きやすくなります。
●入試日程と出題内容
入試は3回行う学校が多いのですが、同じ学校を複数回受ける場合は、各日程で出題内容にどんな違いがあるかを確認しておく必要があります。
第一志望校は変える? 変えない?
この時期になると、第一志望校の合格可能性が、かなりはっきりと見えてきます。合格可能性が低い場合、第一志望校を変えるべきかどうか、という相談を私もよく受けます。個々のケースに寄りますが、ご本人も保護者のかたも、第一志望校での学校生活を心から望んでいるのであれば、受験すべきだと思います。志望校を変えるとモチベーションが下がってしまうという面も、確かにあります。
しかし、「ダメでもともと」という考え方での受験、いわゆる「玉砕型」はあまりおすすめできません。子どもにトラウマを残してしまう可能性があるからです。初志貫徹は大事ですが、受かりそうだという見込みも大事です。
受験校の最終決定に迷った場合は、いったん偏差値や難易度で学校を見る観点は捨てて、「我が子に合うのはどんな環境か」「我が子にどんな大人になってほしいか」といった本質的なところに、あえて立ち戻ってみてください。
せっかく合格した難関校になじめない子どももいますし、第二志望で受けた学校の環境が見事にぴったりと合い、のびのびと活躍する子どももいます。受験校最終決定直前の切羽詰まった時期だからこそ、保護者のかたはあえて肩の力を抜いて、さまざまな選択肢について考えてみていただきたいと思います。
次回は、4年生を対象に、12月の重点課題について取り上げます。