科目間バランスを考える[中学受験]

「科目間バランス」とは、合格最低点をクリアするための戦略である。つまり「各科目で何点くらいとるか?」、そのためには「今後どの科目に時間をかけて勉強するか?」「どのような勉強をするか?」などを考えるのである。戦略的に考えるためにはデータが大切だが、今までやってきた過去問のデータがますます役立つことになる。なお具体的に説明するために、A君がB中学校を目指したという例を想定して下に示す。

【科目間バランス:やり方の具体例】
B中学校は国語100、算数100、社会60、理科60という配点の試験で、今年の入試の合格者最低点は195点だった。この数字は今年の結果だから、来年の結果がこの数字よりも上か下かはわからない。そこで過去5年程度の平均を計算するのだが、平成15年の175点(54.7%)はかなり低いので、こういった低すぎる(または高すぎる)点は除外して、合格最低点の平均である201.3点を得た。安全値を考えてこの点に10点程度プラスし、目標点を210点とする。

次のステップとしては、各科目何点くらいとれるか(とろうか)ということになる。A君は算数と理科が得意であり、もう少し演習を重ねればそれぞれ70%はコンスタントに得点できそうである。ということは、算数で70点、理科で42点はとれることになる。また社会は苦手な分野が絞り込まれており(たとえば地理)、頻出の時事問題と合わせて学習していけば50%の得点率を60%まで引き上げることは可能であると考える。すると残り62点(210‐70‐42‐36=62<点>)を国語で得点できるかということになる。ここで得意の算数や理科でもう少し点を伸ばすかどうか迷うところだが、通常の入試で80点(%)近くをコンスタントにとるのはなかなか難しい。やはり苦手な科目を底上げしたほうが、より確実であると思われる。A君にとって国語で得点を失う最大の原因は、「選択肢の絞り込みミスにおける失点」と「記述問題における減点」である。選択肢はかなり正答率があがってきたし、記述の書き方も少しわかってきた。あとは演習を重ねればなんとか60点+αは得点できそうだ。ということで、入試までにすべきことは算数と理科のコンスタントな学習と、国語、社会の重点分野への注力に決まった。

ここまですべきことが決まれば、あとは着実に学習していけば良い。仮にやる時間が足りなければ、不要なものを「ステル」ことになる。何を捨てるかは人によって異なるが、少なくともA君にとっては「社会の苦手分野の学習」や「国語の選択肢や記述問題の演習」ではない。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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