家庭の事情を優先する学校選び 〜多額校と少額校〜[中学受験]

 学校にかかるおカネについて親はどこまで支払えるか。まず6ヵ年にかかる費用について千葉、埼玉、神奈川、東京とみてきた。ただ、前回までに500万円台の共学校が挙げられなかったので、東京中心に続けて記すと以下のようになる。(引用はすべて市進刊『中学受験ガイド』より)
 すなわち青山学院、穎明館、かえつ有明、啓明学園、国学院久我山、淑徳、聖徳、成蹊、成城学園、多摩大聖ヶ丘、帝京八王子、日大第三などと、やはり男子と同時に難関銘柄校が多い。とはいっても、東京も400万円台が中心を占める。男子ではあの麻布、開成、早稲田、巣鴨、桐朋もこの400万円台で、ほとんどこのゾーンに入る。300万円台は安田学園のみ。

 女子では300万円台がいくつかあって、滝野川、千代田、豊島岡女子、北豊島、文京学院女子。共学では実践学園、松蔭、駿台、創価、東京成徳、東京農大第一、宝仙など。つまりこれ以外のほとんどは400万円台である。こうしてみると東京も400万円台が中心ではあるが、500万円台に難関銘柄校が相当あるのが特徴と言えよう。

 ただし、すでにみたように超難関の開成、麻布、桜蔭などというところは400万円台であり、豊島岡女子などは300万円台と必ずしも高くはない。しかし、改めてこう考えてみると、例えば東京の高額校600万に対して、千葉の多数校が300万円だから、じつに倍も違うことになる。

 600万には600万の価値があって、どうしても支払い能力の高い保護者が多くなるだろうし、300万ならバーが低いので多様な層が入学するだろうと推測できる。

 ただし、その間の400〜500万の学校については、300万より400万、あるいは400万より500万という、より高い金額への移行にほぼともなう形で進学上位校が多くなってくる。つまり、この400万〜500万の層は相対的に難しい入試に通るようならば支払うことを覚悟する金額ということである。
 しかし、今みてきた通りで総じて千葉と埼玉の方が大幅に安いので、東京、神奈川に住んでいても金額によっては支払い事情に制約がかかる、ということであれば、発達した交通網を利用してやや遠出しても元はとれるかもしれない。すでにみてきた通り、学校のサービスの値段は都県ごとの行政区分でレートが違っているようなもので、サービスの受け手は行政区分をこえて一向に差し支えない(もっとも少額だが他県私学への進学の際、税額控除額が異なるケースもあるようだ)。

 トヨタなどがつくる例の海陽学園は年間が300万円だから、千葉の通学制の私学の6年分を1年で使いきることになる。逆に東京の高額校といっても、海陽の2ヵ年分にすぎないとも言える。海外のボーディングスクールや大学などはどうしても一年で400〜500万はかかる。しかし私立中学でもすでにこれだけの金額差があることは知っておきたい。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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