自主性重視であれば……[中学受験]

前回、最大の人気ゾーンは、(1)生徒文化の面では自主性を重視し、(2)学習の面では精神面重視(尻を叩いて勉強させる管理型ではなく、学習に向かうモチベーションを上げることを重視する)の学校タイプだ、というアンケートの結果をお伝えした。
では、次に人気ゾーンの学校は、(1)の生徒文化の自主性に重きがあるのか、それとも(2)の学習面での非管理のほうに重きがあるのか、というとどうだろうか。
つまり、(1)の生徒文化面の自主性重視というのは、生活面での自主性に重きがあって、(2)の学習面での管理・非管理はあまり気にならない、ということである。
同様に、(2)の勉強に向かう精神面をより重視するというのであれば、(1)の生徒文化の面で自主性を重視するか管理を重視するかは気にならないという態度と考えてよい。

さて、保護者から見て、どちらの学校タイプに人気があるかと調べてみると、これは前者、すなわち(1)の生活面が自主性重視であればよいと考えるかたで、すべてのタイプ分けの中でも二番手人気となった。既に述べた最大人気の「生活では自主性/学習では精神面タイプ」を選んだ保護者が全体の26%であるのに対して、この二番手人気の「まずは生活面が自主的であれば、学習の精神面は管理型でも非管理型でも気にならない」というかたは24%と、最大人気ゾーンとあまり変わらない数字になる。

具体的にこの二番人気ゾーンにあてはまる学校だと、アンケートに回答した男子校では、海城中学校、暁星中学校、芝中学校、桐朋中学校、明法中学校(以上東京)という名が並ぶ。女子校では鴎友学園女子中学校、香蘭女学校中学校、品川女子学院中等部、中村中学校、日本大学豊山女子中学校(以上東京)、洗足学園中学校、緑ヶ丘女子中学校(以上神奈川)となかなかの人気校が多い。共学校では愛媛県松山市にある愛光中学校を始め、開智中学校(埼玉)、芝浦工業大学柏中学校(千葉)、茗渓学園中学校(茨城)、桜丘中学校、東京農業大学第一高等学校中等部(以上東京)と、ここもなかなかの人気校の名が見える。
このように総じて学校というところは、生徒文化が自主的であることを尊ぶ風があることがわかる。一方で学習面では、しっかりやらせる管理型か、精神面に重点を置いている非管理型かについては、そのどちらでもなく、中庸を好むというのがこのゾーンの特徴である。

ところで受験生の保護者の間では前記したとおり、このタイプが一番人気に劣らない二番手人気のタイプだが、さりとて保護者のほうは、学習面では管理/非管理の中庸というようなのでは物足りなくて、精神面を重視している非管理のほうにやや傾いている。そのため、このゾーンの学校では人気が偏り、不人気校も出てくることになる、との説明も成り立つ。
もう一つの可能性としては、学校側は自主性や精神面を重視していると思っていても、別の学校と比較した場合、学校側が強調するほど自主的だと保護者に感じられないため、不人気のケースがあるのかもしれない。
つまりその場合は自主性の度合いが「いまいち」と思われている可能性がある。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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