合格率は上げられる[中学受験]

 確かにこうして今春の中学受験の大多数の人気校は平均倍率(私は移動平均という手法で、約30校ずつの学校を偏差値の高い方から低い方へ移動しながら難易度による倍率の傾向を算出した)でなんと4倍、即ち合格率25%である、という何とも成算の乏しい受験事情であることが改めてわかった。

 これだけの確率しかないのならば、高校入試でチャレンジした方がよさそうなものだが、実際のところ人気校に7割もの受験生が殺到するのは何が何でも中学からこうした学校に入りたい、という意思の表れと思われるし、事実高校入試からの上位校の受け入れはほとんどない。もっとも早慶をはじめとして附属校として名のあるところは、高校からの受け入れ枠を余り少なくしてはいないので、上記の事情は進学校についてのものである。又、ご案内の通り、女子進学校も高校受け入れがほとんどないから、特に女子は中学受験で勝負する、ということになる。

 さてそうなると確率25%の世界だから、学校を選んで4回挑戦すれば1校は受かるかもしれない。しかし、それでは中学受験に多大な時間と費用を支払ったとしても、まことに得るものが少ないことになりかねない。第一この難関突破のために子どもにかかる負担(特に精神的なもの)はとても重い。重いだけでなく、こうストレスが強いとなると、それがその日その日は無事過ぎていっても、積もり積もって思春期に思いがけない親子関係の悪化に至らないか、さすがに心配になる。

 これを避けるにはどうしたらよいかをよく考えずに中学受験にとり組むと、なかなか先が見えずにストレスだけが募るという実態になりかねない。

 ところで最初にお話ししたように、人気校というのは偏差値にして80%の合格可能性が50以上にランクされている学校である。だから偏差値50にランクされている学校を受験するのであれば、合格可能性は一般なら25%に対して、仮に偏差値50以上とれる受験生なら合格率は80%となるのだから、とても展望が広がる話となる。要は偏差値というものは合格可能性を示すのに利用されるのだから、ここは大いに利用すべきということになる。

 しかし、一般に受験すれば25%の確率だということは、こうした偏差値を利用して合格の見極めをつけずに闇雲に受験している受験生が相当に多い、ということになるし、それだけ受験生に偏差値が徹底されていないとも言える。というのも、もし偏差値通りの受験行動をとればここまで合格率が低くはなるまい。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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