中学受験をしない小6生が中学入学までにやっておくべきこと(3)【英語編】

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中学校入学を前に、「英語の準備をしておきたい」というお声をよく耳にします。
小学校の英語は、「聞く」「話す」活動を中心に学習しています。
英語の歌を歌ったり、ゲームをしたりすることで、英語に多く触れることを大切にしています。

一方で、中学校では「聞く」「話す」力に加えて、「読む」「書く」力を加えた4技能の力を付けていきます。小学校にはなかった記述の問題や、単語の知識を問う問題、文を読む問題も出題されるため、小学校の英語との違いに戸惑うこともあるようです。そこで今回は、中学校入学までにやっておくべき英語の学習について3つの視点からご紹介します。

この記事のポイント

小学校の英語学習で「聞く」「話す」力をしっかり付ける

  • ・英語をたくさん「聞く」「話す」経験が大切
  • ・自宅で英語を「聞く」練習をする
  • ・知っているフレーズを声に出して「話す」練習をする

英語の習得には、英語をたくさん「聞く」「話す」経験が大切

小学校英語では、楽しく「聞く」「話す」ことを中心にカリキュラムが構成されています。楽しい英語学習の経験を通して「英語って楽しい!」という経験を積むことを大切にしています。

中学校以降、テストや受験をクリアしていくために、英文法の理解や難しい問題に挑戦していくこととなりますが、「英語=楽しい」というイメージは、これらの挑戦を支える力となります。また、語学学習全般において、聞いたり話したりする経験に比例して読んだり書いたりする力が向上する傾向にあります。「聞いたことがある→音とつづりがひも付く」といったプロセスで学習事項が定着するため、まずは小学校のうちに英語をたくさん「聞く」「話す」経験をすることが大切です。

自宅で英語を「聞く」練習をする

前述のとおり、「聞く」「話す」経験は、小学校のうちから培える英語能力の一要素です。

とはいうものの、「話す」経験を自宅で積むことはなかなか難しいと感じるかたも多いかと思います。そこで、おすすめなのがインターネット配信サービスを利用した「聞く」練習です。

小中学生向けに英語の歌を配信しているサービスがいくつもありますので、まずは、学校で歌ったことのある歌や、知っている曲の英語版を流してみましょう。日本語の歌詞を覚えている歌であれば、英単語とのひも付けにもつながりますし、英語の歌詞を多く聞くことで「聞く」力を醸成することが可能です。

知っているフレーズを声に出して「話す」練習をする

前項でご紹介した英語の歌を聞く中で、聞き取れた部分を真似して、いっしょに歌ってみることもおすすめです。「話す」経験と言われると身構えてしまいますが、聞き取れた部分を「真似して歌う」のであれば、比較的抵抗なく取り組めるでしょう。

また、小学校で習った英語を自宅で発話することも非常に有効です。
小学校では、教科書の表現を中心に学習しています。そこで、教科書を見ながら「クイズ! 犬って英語でなんて言うでしょうか?」「『〇〇が好き』って英語でなんて言う?」など、教科書を見ながらお子さまの状況にあった英文を言ってみるチャンスを作りましょう。授業でも反復練習をしていますが、時間がたつと忘れてしまったり、あいまいになってしまったりするため、自宅での繰り返し学習が効果的です。

ただし、何度も繰り返しすぎてお子さまが嫌そうにしたり、答えられずに悲しい気持ちになったりしないよう、反応を見ながら行うことが大切です。「英語=楽しい」というイメージを保つ、という点は留意する必要があります。

日本語と英語の違いを意識する

小学校では「聞く」「話す」を中心に学習しているため、中学校の「読む」「書く」では当たり前に注目する箇所が、思いのほか定着していないことがあります。そのため、英語と日本語のルールの違いに注目することは、「読む」「書く」力の素地をつくるうえで非常に有効です。小学校の教科書を一緒に見ながら、以下のポイントを確認してみましょう。

  • ・英語は、単語と単語の間が空いていることを確認する
  • ・英語ならではのルールを「発見」する
  • ・英語の教科書を声に出して読んでみる

英語は、単語と単語の間が空いていることを確認する

日本語は語を続けて書きますが、英語は単語と単語の間を空け、1語1語を判別できるようにしています。この点は日本語との大きな違いですが、実際に「書く」際に意識できないお子さまが多いポイントでもあります。

まず、「どうして間が空いているのかな?」と投げかけ、考えさせることが大切です。
答えが出てこない場合には、「じゃあ反対に、間をなくしてみたらどうなるだろう」と投げかけ、実際に書かせてみましょう。大切なのは、このルールに理由と意味があることをお子さま自身が発見し、実感することにあります。

英語ならではのルールを「発見」する

「日本語と違うルールはどこだろう?」と投げかけて、英語では、文は必ず大文字で始まり以降は小文字で書かれている部分が多いこと、必ず文章の最後にピリオドやクエスチョンマークなどの記号があることを「発見」できるように促してみることも有効です。
うまくいけば、「日本語の『。』と同じように、英語では『.』を付ける」など、核心をついた発見をしてくれることでしょう。このような気付きを得ることで、ルールをただ暗記するのと比べてより自発的な理解につながります。

英語の教科書を読んでみる

基本的なルールがわかったら、教科書の英文を声に出して読むことに挑戦しましょう。
小学校では「読み」の練習はあまりしていない場合もあるため、読めなかったり、つかえてしまったりすることも予想されます。そんなときはいっしょに英語を指でさしながら声に出して読んでみましょう。

ここで大切なのは、ローマ字の読み方とは異なり、英語独自の読み方があることに気付くことです。ローマ字の読み方と違う部分に注目しながらつづりと音を確認していくと英語の単語を読むときのルールがわかってきます。ある程度英語の読みに慣れてきたら、つづりと音のルールの学習法、フォニックスで読み方のルールも覚えておくと応用がきくようになり、英単語から音が予測できるようにもなります。

中学校に向けて「アルファベットを正確に書ける」ようにする

  • ・アルファベットを正確に書けるように練習を繰り返す
  • ・英語の単語を書いてみる
  • ・英文を書くことに挑戦する

アルファベットを正確に書けるように練習を繰り返す

小学校での英語指導は英語を「聞く」「話す」ことに注力しているため、アルファベットや単語を「書く」指導はあまり行っていない場合があります。そのため、何も見ずにアルファベットを書くことが難しいお子さまもいらっしゃるかと思います。
また、アルファベットはしっかり書けていると思っていたが、アルファベットの順番を誤って覚えてしまっていたり、似た文字を取り違えて覚えてしまっていたり、といったことがあります。

そのため、「書く」力の基礎として、アルファベットを正確に書く練習は欠かせません。特に、中学1年生でもミスが多いbとdやpとq、書き方によって違うアルファベットにとらえられてしまうiとj、hとn、順番で混乱しやすいl、m、nなどは、要注意です。

大文字・小文字をセットで1日1回書いてみる、間違えた文字は5回書いてみる、など、ルールを決めて日々のルーティーン学習として組み込みましょう。慣れてきたら、zから aへ逆の順番で書いてみる、Aa、Bb……と大文字・小文字のセットで書いてみる、などゲーム的に学習を発展させることもおすすめです。

英語の単語を書いてみる

アルファベットに自信が付いてきたら、単語の書き取りに挑戦してみましょう。
教科書に載っている単語をお手本にして、声に出しながら書いてみましょう。

そうすることで音とつづりが結び付きやすく、定着がしやすくなるため、中学校入学以降も効果的な学習法です。単語学習に慣れておくことで、中学校で求められる暗記学習にも抵抗なく取り組めるようになります。

英文を書くことに挑戦する

単語もしっかり書けるようになり、さらなるレベルアップを図りたい場合には、英文を書くことに挑戦してみましょう。

英文のルールを意識して、まずはI am ~.「私は〇〇(名前)です。」など、自分についての英文を書いてみましょう。短い英文であっても、実際に書くことで日本語と英語の書き方や文の構造の違いを意識できるようになります。書くときにはお手本を用意してそれを見ながら書くことをおすすめします。最初は、4線のノートで正しいアルファベットで書くことを意識しながら取り組んでみましょう。

以下で、中学校のテストでよくみられるケアレスミスをご紹介します。
英文を書く練習をする際に、注意してみてください。
・英単語の文字と文字の間をつめて書いてしまう
・文の最初を小文字で書いてしまう
・bやd、hやnなどを間違えて書いてしまう
・文章の最後に、ピリオドやクエスチョンマークがない

まとめ & 実践 TIPS

小学校英語では約600~700語の単語を学習しますが、中学校ではさらに1,600~1,800語を学習します。小学校英語の「聞く」「話す」の力を補強しながら、その力を土台にアルファベットや単語の学習を通して「読み」「書き」にもチャレンジしてみましょう。中学校でも、英語を楽しく学べるよう、応援しています。

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株式会社プランディット 英語課 鈴木(すずき)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの英語教材の編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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